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オフィス需要が将来5割減? ビル経営の構造変化。

2018.4.10|コラム

働き方改革、ワークライフバランス、リモートワーク、巨大シェアオフィスなど働く環境の変化により、今後のビル経営に変化がでてきています。

将来5割減?「オフィス」に迫り来る構造変化

不動産大手各社がスタートアップやベンチャー企業への支援に一斉に乗り出したのは、企業が積極的に取り組み始めた働き方改革によってオフィス市場に構造変化が起きつつあるからだ。政府が2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて普及に力を入れているテレワークの導入などで、従業員1人当たりの専用オフィススペースが4割から5割縮小するとの試算も出ている。

理由は簡単だ。テレワークを導入するには、通信回線を通じてどこでも仕事ができるように企業は業務システムをクラウド化することになる。当然、オフィス内でも端末とスマートフォンがあればどこでも仕事ができるので、従業員1人ひとりにデスクと固定電話が必要ということはなくなる。フリーアドレス制でデスクスペースを効率的に使えるようになれば、1人当たりの専用オフィススペースは大幅に削減できるというわけだ。

この記事によると、「働き方改革」がオフィス需要に大きな影響を及ぼすことについて、日本の不動産大手企業が認識するようになったのはつい最近のことのようですね。

 

シェアオフィスの数ではなく付加価値が重要になる

この記事の最終ページには、

コミュニティの形成が重要になる

立地のよさや広さだけでなく、新規事業創出、知的生産性の向上、ワーク・ライフ・バランス実現などに貢献できるかどうかが重要になる。

(中略)

「どこのコミュニティが人気が高く、活気があるか。いずれは差が出てくるだろう」(起業支援コンサルタント)。不動産会社は新しい時代のオフィス需要をいかに取り込んでいくか。活気あるビジネス・コミュニティを形成し、成長企業や新産業が次々と誕生するエコシステム(生態系)を構築できるかが重要な課題となりつつある。

と記載されていました。

コミュニティの形成といえば、ソフトバンクグループと合弁で日本法人を設立し4千億円以上もの巨額な出資を同グループの中核ファンドなどから受けた

「WeWork」

が有名ですね。活発なコミュニティの形成のカギを「WeWork」は持っているようです。

米国発「WeWork」が日本で狙うオフィス革命

日本人は恥ずかしがり屋だ、と言う人は多い」と指摘する一方で、「それは外見だけで、人とかかわってコラボしたいという願望はいつの時代にもあった。単にそういう環境が提供されてこなかっただけ。ウィーワークにいればそういうことをしてもいいんだと感じられる」と強調する。

こうした仕組みは、コミュニティマネジャーの入念な育成なしには機能しない。日本では200人と面接したという。加えてヒル氏は、「創業以来6年間、われわれはコミュニティマネジャーの研修カリキュラムの開発に力を注いできた」と話す。研修を終えると、社外でも使える認定資格をもらえる。

「WeWork」が世界のシェアオフィス分野のリーディングカンパニーとなったのは、資金調達が上手なことだけが理由ではないようです。

記事の通り、コミュニティマネジャーの入念な育成がポイントです。言い換えると、コミュニティマネジャーの腕次第でそのコミュニティの形成が活発化するかどうかが決まることになります。

シェアオフィスをハード面で実現することは、日本企業にとってそれほど困難なことではないと思いますが、入居者間で自然と充実したコミュニティの形成ができるかどうかは疑問です。

日本人の性質もあるし、テナント管理やビル管理を外注化して効率化をメインにしてきた日本のビル経営スタイルが、そう簡単に海外のようなシェアオフィス、コワーキングのスタイルに適合できるとは思えません。

 

「働き方改革」によりもたらされるビル経営の構造変化に対応するには、ビル経営陣の「意識改革」が必要。

フリーランスや海外企業の方向けのシェアオフィスの話とは異なり、日本での法人向ビル経営の場合、契約担当は、情報漏洩や雇用形態に責任を負う方々ですので、賃貸借契約の締結に至るまでの各種手続きは容易ではありません。

現実を無視して、「WeWork」の表面的なモノマネをしてもうまくいかないと思います。

かつて私が、超大手企業の研究所に足を踏み入れた時、まるでシリコンバレーの超優秀な労働者のワーキングスタイルの表面的なモノマネをしている姿に直面する機会がありました。研究チームの質は、会話する限りでは正直なところ?がつく状況でしたが。。。

その時、「こういう人たちが100億規模の研究開発費を食いつぶしてしまうのだろうな・・・」と思いました。

最近では、民泊の話も同様です。日本社会に存在する旧態依然の組織・法体系及び利権を無視して、大きな変革期の波に乗ることは、現実的にはとても困難なことです。

ただ、ビルの経営者としては従来通りの経営ができなくなる可能性は出てくるので、今の内に何か手を打たなくてはいけないのも事実としてあります。

 

「働き方改革」の本質は「公私統合」が狙い

「働き方改革の本質は労働時間の短縮ではない」

「シェアオフィスを作るのがゴールの事業ではなく、最終的なゴールは新しい企業の働き方を作ること」

働き方改革の本質は労働時間の短縮ではない–三井不動産に聞くオフィスのあり方

時短勤務、育児、介護などビジネスパーソンのニーズの多様化を考えると、“それぞれ事情の違う一人一人に9時から5時まで、本社オフィスでずっと働いてください”というルールは、大企業であっても崩れるのではないかと思うのです。そうした中、先進的な企業はすでに働き方の変革を実現しており、安定的と言われているビル事業も、これから厳しくなるのではないか。これからの時代に事業継続性を担保できるビジネスモデルは何かを考えなければいけないと感じています。

(中略)大事な点は、WORKSTYLINGはシェアオフィスを作るのがゴールの事業ではないということです。最終的なゴールは新しい企業の働き方を作ることであって、とても大きな視野で事業を捉えている。もちろん、ハードを作る上では建築の専門家も必要で、ビジネスを作るためにはファイナンスの専門家も必要です。しかし、世の中を巻き込んでムーブメントを生み出し、企業にとっての新しい“働き方のルール”を創るためには、社会に対してどのように新しい考え方を提案し、普及していくかを考えていかなければならなかったのです。


働き方改革の本質は労働時間の短縮ではない–三井不動産に聞くオフィスのあり方– (page 2)

いま行われている働き方改革の議論は、端的に言えば「早く仕事を終わらせて帰る」「残業しない」という“公私分離”だと思うのですが、私たちが考える働き方改革は、プライベートの中で生まれた気付きや出会いを仕事にも活かしていく“公私統合”だと思うのです。例えば、土日に参加したイベントから新しい仕事につながる出会いが生まれたり、友人との意見交換から仕事のヒントが手に入ったり、どこまでが仕事でどこまでが遊びかなんてわからないわけです。

「働き方改革」の本質が

“公私統合”

ということのようですが、「働き方改革」を望まない経営者とサラリーマンが相当存在すると思います(笑)。

働き方改革の本質が「公私統合」と言われても、それを日本の企業経営者が心から望むでしょうか?

実際は仕事中は社内はもちろん社外であっても、ビデオカメラやネット閲覧履歴監視ソフト等を用いて、ガチガチに監視したい(笑)経営者が多いはずです。

一方、多くのサラリーマンにとっても残業代が実質的に定期収入化しています。残業代が減ると、住宅ローン返済資金等に困る人は相当数いるでしょう。

そもそも、「働き方改革」の本質といわれる「公私統合」で斬新な事業を企業に提供可能な多くの人は、既に自ら独立して事業を営んでいるか、よほど現在の勤務先と良好な関係が存在していれば別ですが、これから独立することを考えるのではないでしょうか。

 

 

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