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Jリートへの転売ビジネスに警笛か?

2014.11.7|不動産投資ニュース

20141107

Jリートは、運用する不動産の取得価格と、その裏付けとして鑑定評価額を公開していますが、最近の価格の高さにはため息がでます。国交省からは、「不当な鑑定評価等及び違反行為に係る処分基準の一部改正」が通知されています。高額な購入者(入口)がJリートを転売先(出口)とする不動産ファンドビジネスに警笛が鳴らされているのではないでしょうか。

 

先日、不動産証券化協会(ARES)よりJリートに関する最新レポートが公開されました。

  「J-REIT REPORT No.60(2014年11月)

< 10 月ハイライト> 3 件の新規上場と 3 件の公募増資が発表された。月末には日本銀行による追加緩和でJ-REITの買入れ額を従来の3 倍の年900億円とすることが発表され、東証 REIT 指数は 6年9ヶ月ぶりの高値を付けた。

新規上場のリートが組み入れる不動産リストが公開されていますね。実はこのレポートに記載されている不動産の中には、私たちが今春まで関わった仲介不動産が含まれていました。残念ながら、到底太刀打ちできない高額な売買価格でしたが(苦笑)。。。

その時点で既に、買主は近い将来数億円を上乗せしてリートに組み入れるのだろうと想定していました。その想定する時期より早く、想定した価格をはるかに上回る価格により転売される(組み入れられる)ことになったようです。この価格で素早い転売ができるのならば、もっと高額な購入価格で検討しても良かったかもしれません。

 

そもそも不動産鑑定評価額は唯一無二のものではなく、不動産鑑定者によってばらつきがあります。仮に鑑定評価額が高すぎるという印象を持ったとしても、その裏付けとなる根拠が存在しないのであれば鑑定評価額が不当であるとは言えません。

 

スポンサー企業が保有する不動産を、自作自演的なJリート等不動産ファンドに転売(組み入れ)する場合であっても、鑑定に使用された鑑定資料及び手法が一般的な不動産鑑定理論に従ったものであって、特に不合理とされるようなものがうかがわれない限り、不合理な鑑定評価額とは言えません。見え見えの錬金術と揶揄されてもです。

 

「不当な鑑定評価等及び違反行為に係る処分基準」の一部改正

ただし、先月10月28日付にて、国土交通省土地・建設産業局長から公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会宛てに、「不当な鑑定評価等及び違反行為に係る処分基準の一部改正について(通知)」が発出されました。こうした究極の錬金術とも思われるJリートへの転売ビジネスに何らかの警笛が鳴らされたと思うのが自然ではないでしょうか。

不当な鑑定評価等及び違反行為に係る処分基準の一部改正について(通知) (PDF形式)

何らかの圧力が働き、あらかじめ決められた鑑定評価額に合わせた不当な鑑定評価プロセスを強いられる不動産鑑定士が存在してはいけませんね。また、不動産ファンドビジネスに関係して、この処分基準の改正により戦々恐々としている不動産鑑定士さんが存在しないことを心から願います。

 

しかし、概算の鑑定評価額が売主の売却希望価格に必ず到達するよう特段の働きかけを行ったり、不動産鑑定業者の独立性を損なうような不適切な働きかけ等を行い実際に処分された不動産ファンドも存在します。

株式会社不動産鑑定審査機構が公開している資料を見てみることにしましょう。箇条書きではありますが、問題点を指摘しています。

会計監査、投資判断、与信管理、訴訟のための不動産鑑定評価書の審査とその活用
~危ない鑑定評価書の見分け方~

「投資家の不動産ファンドに対する不信感(14頁)」
「金融庁によるファンド処分事例(16頁)
「鑑定手法の問題点(18頁)」

 

結局のところ投資は自己責任です。各Jリートが公開する不動産鑑定評価額や、その実質的なスポンサーの状況や運営形態について納得ができない場合には、そのJリートには投資しないことに限りますね。