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不動産売却で多額の利益  アベノミクス転じて「バンザイノミクス」は危機的状況

2014.11.21|不動産投資ニュース

20141121

アベノミクスと日銀の金融緩和により数千万円~数億円の売却益(キャピタルゲイン)を不動産で得た方が多数いらっしゃいます。超低金利・株高・円安の日本経済は、「バンザイノミクス(Banzainomics)」「日銀のブラックホール化」と海外メディアから評されています。日銀の緩和策次第では金利が上がり不動産投資家にとって恐れる事態へと突入する危険性があります。

 

「バンザイノミクス」、これは漫才用語ではありません。アベノミクス転じて、日本経済が玉砕(BANZAI)するのではという警笛の意味を含んでいます。

今朝の朝日新聞朝刊の紙面では、世界最大の機関投資家である「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」の運用基準をつくる運用委員会の米沢康博委員長が、金利上昇と国債価格の下落について言及しています。

「国債を大きく売る必要があり、日銀が大量の国債を買い入れる緩和策を終えるまでにやらなくてはいけないと認識していた」と述べた。緩和策が終われば金利が上がり、国債価格が下落するとみられるからだ。

(平成26年11月21日付朝日新聞朝刊 7面より)

先日、宅建講習に参加した際、知り合いの何人かは、笑顔が絶えないどころか、ねたまれることを恐れて笑顔を隠していました。アベノミクスの恩恵で、不動産で数千万円~数億円の売却益(キャピタルゲイン)を得ている知り合いが増えているのです。

さらにここ数年間で、数百億円単位という桁違いの利益を得ている海外投資家もいます。著名なジョージ・ソロス氏の例を見てみましょう。

日銀「異次元の緩和策」で「円は崩壊する」 ソロス発言の信ぴょう性
2013/4/ 9 19:42

ジョージ・ソロス氏はヘッジファンドを率いる投資家だ。米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ソロス氏は2012年11月以降の3か月間に、円安を見込んだ取引で約10億ドル(約940億円)の利益を得たという。

他にも「安倍相場」の円安で儲けたヘッジファンドは少なくなく、ヘッジファンドによる円売りがこのところの円安に拍車をかけたとの見方もある。ソロス氏の「円の崩壊」発言が、自らの投資を有利に運ぶ「ポジション・トーク」の可能性がないとはいえない。

最近も、ソロス氏は円売りで巨額の利益を得ているとの報道も海外でなされています。

Soros Fund Profits Yet Again From Yen Short
Winners from weakening Yen
 (November 04, 2014)
Soros Fund Management profited hundreds of millions of dollars from betting against the Yen since Friday, according to a Wall Street Journal report by Greg Zuckerman based on information familiar with the matter.

Last year, George Soros made a large bet against the Yen amid the strong monetary easing supported by Prime Minister Shinzo Abe to fuel the Japanese economy. It had been reported that Soros Fund Management made $1 billion profit from shorting the Yen at the time.

profited hundreds of millions of dollars」は数億ドルの利益、「 $1 billion profit 」は上記の昨年4月の記事の通り10億ドルの利益ですね。

ソロス氏のような海外投資家がこのような巨万の富を得をしているということは、誰かが損をしているかリスク負担をしているということになります。

儲かっている方にとっては、アベノミクスにより手元に多額の利益がもたらされたのですから嬉しい反面、今の経済政策が続くと日本経済は大丈夫かと心配しています。

 

バンザイノミクス?

最近の日本銀行(日銀)の動きについての海外メディア評です(意訳付)。

BOJ Stands Ready to Buy Every New Bond Abe’s Government Issues

“The BOJ is basically declaring that Japan will need to fix its long-term problems by 2018, or risk becoming a failed nation.”


「日本銀行は、2018年までに日本が長期に渡り抱えている問題を解決しなくてはならず、もしそれが解決できなければ、日本が破綻国家になるリスクがある、と基本的に宣言したのです。」

 

「日本が破綻国家になる」?

 

大げさな・・・と思う方の割合が日本にどれだけいるか分かりませんが、海外では本当に心配するべき問題になっているようです。

 

「バンザイノミクス」という言葉は、11月12日、日本銀行宮尾審議委員に対する欧米人記者の質問の中でも出ました。

日本銀行宮尾審議委員記者会見要旨― 2014年11月12日(水)

消費税の再増税については、首相に近い方が延期あるべしという前提で発信をされ始めておりまして、延期の可能性がかなり高いと思います。その中で英米の市場関係者の間では、追加緩和による事実上の国債全額買い取りという明確なマネタイゼーションと、増税延期という組合せをバンザイノミクスという国債暴落政策として懸念する見方も出ていると思います。(4頁目より)

海外メディアでは、10月末の追加金融緩和時に使われています。先日は、 「Japan’s “Banzainomics” QE」という言葉が使われていました。

Charting Banzainomics: What The BOJ’s Shocking Announcement Really Means

We wish Japan the best of luck in avoiding becoming a “failed nation.”

Abe Approval Tumbles As Majority Say Japan’s “Banzainomics” QE Will Have Negative Effects

As a reminder, Japan’s outstanding debt at a record 1.04 quadrillion yen ($9.1 trillion) is over twice as much as its GDP, the highest in the world.

“Banzai”という単語は、万歳バンザイ突撃を意味であり、最悪の場合玉砕するという悪い意味を持っています。

上記の2つの記事では、「失敗(破綻)した国家になることを避けることができるように・・・」「約1000兆円という世界一の借金大国」と、嬉しくない表現が使われています。

 

ブラックホール化?日銀の継続的な国債購入

約2週間前の記事ですが、日銀の追加金融緩和と日本経済を評した興味深い記事ですので引用させていただくこととします。

ブラックホール化する日銀の国債購入

[5日 ロイターBreakingviews] – 日銀の国債購入は「ブラックホール」の様相を呈し始めている。政府が発行する国債は日銀が吸収し続け、そこから2度と市場に出て来ない──。少なくとも、それが投資家の信じたいことだ。もし彼らの期待が変われば、日本国債市場への影響は厄介なものになりかねない。

日銀の国債保有額はすでに約200兆円に上り、公的債務残高の24%に相当する。その日銀は先週、追加緩和に踏み切り、国債買い入れ額を年間50兆円から80兆円に拡大した。公的支出が大幅に増減しないと仮定すれば、来年には国債発行残高のさらに7%が日銀の重力に吸収されることになる。このペースが続けば、2018年までには日銀が国債の半分を保有することになる可能性がある。

(中略)

中央銀行は国債を売却する必要に迫られることもなく、日銀の金庫はブラックホールと化す。そこに飲み込まれた国債は2度と外には出て来ず、市場に残る国債は高価な軌道上にとどまることなる。正誤はともかく、投資家はそれに賭けている。

このようなゆがんだ経済状況下では、ソロス氏のような海外投資家が躍進します。過去、日本経済含めて世界各地でソロス氏がどんな巨大な影響を与えたかについて確認してみましょう。

「バンザイノミクス」と評されるほど、今後の日本経済が心配される意味がお分かりいただけると思います。

 

海外投資家のご都合主義で金融危機は発生します

数年前のリーマンショックでお分かりの通り、不動産投資市場は、今や金融市場と切っても切れない関係にあります。そもそも現在の不動産市場価格の形成に最も影響力を与えているのは、国内外の不動産ファンドです。その不動産ファンドの資金源は、国内外の金融市場が中心です。

その金融市場はもはや一部の巨大な海外投資家の手の内にあるといっても過言ではないと思います。世界に名だたるヘッジファンドなどが本気になったら、金融市場どころか日本政府もひとたまりもありません。

上記ジョージ・ソロス氏は、かつて英国政府とイングランド銀行(英国の中央銀行)をも屈服させたことで名を馳せました。

国家屈服させた投資ファンドの猛威

1990年代の欧州通貨危機、アジア通貨危機は投資ファンド、とりわけヘッジファンドの力を全世界に見せつけました。その代表的な例がヘッジファンド連合対イングランド銀行の「対決」で、イングランド銀行は、なすすべもなく敗れ去りました。

岡林秀明『図解入門ビジネス最新投資ファンドの基本と仕組みがよーくわかる本』秀和システム, 2011年, 42頁より

アジアでもソロス氏などのご都合主義により日本含めてアジア諸国で通貨危機が発生し、日本でも融資の焦げ付きで長銀や日債銀の国有化へとつながりました。

アジア通貨危機

1997年7月よりタイを中心に始まった、アジア各国の急激な通貨下落(減価)現象である。この通貨下落は米国のヘッジファンドを主とした機関投資家による通貨の空売りによって惹起され、東アジア、東南アジアの各国経済に大きな悪影響を及ぼした。(中略)日本に関しては融資の焦げ付きが多発し、緊縮財政とタイミングが重なった結果、1997年と1998年における金融危機の引き金の一つとな り、1998年9月の政策金利引き下げ、10月7-8日の円急騰(2日間で20円の急騰)、10月23日の長銀国有化、12月13日の日債銀国有化へと繋がる一連の金融不安の遠因となった。

日本政府がなぜ海外投資家の意向に敏感にならざるを得ないかがお分かりになると思います。それだけ、ソロス氏が率いるヘッジファンドのような海外投資家が、世界の金融危機を発生させるトリガーになりうるのです。

残念ながら、ソロス氏のような巨大な影響力を持つ海外投資家に対して、今の日本政府は対抗しきれないと思います。その海外投資家が、昨今の日本政府や日銀のゆがんだ政策にも影響を持っていると思います。

 

日銀の継続的な金融緩和が不動産投資家に与える影響は?

一般的に金利が低ければ不動産や株式などへの投資が活発になり、過剰な投資が続く場合、資産バブルを招きます。すなわち、長期にわたる低金利は、バブルと表裏一体といっても良いでしょう。

そのバブルが崩壊した場合は大変な悪影響が発生するため、政府や日銀のような中央銀行は、バブルが崩壊しないように適切な水準へと金利を誘導しようとします。

すなわち、資産バブルの兆候が継続的に見受けられる状況になった場合は、景気の減速を覚悟してでも早めに金利を上げる政策をとるものです。その金利上昇ペースが緩やかとは限りません。

日銀は、目標としている物価上昇率が2%で安定する状況になった場合、国債購入などのペースをダウンさせることになります。ですから、多額の借り入れで不動産投資をしている方にとっては、決して嬉しくない状況になります。

ところが・・・です。

消費再増税先送り:日銀、狭まる選択肢
日銀は物価上昇率が2%で安定すれば、国債買い入れペースを縮小するなど「出口戦略」を進める方針。ただ、日銀の買い入れ縮小は金利上昇要因となり、国にとっては利払い費の増大に直結する。財政再建が進まない中では「日銀は政府に配慮し、出口戦略を進められない」(金融アナリスト)との見方が根強い。

日銀が大量の資金供給を長期化させれば、資産バブルや急激なインフレを引き起こす金融緩和策の副作用が顕在化する可能性がある。日銀による金融政策のかじ取りは一段と困難になるとみられる。

財政再建が意外と進まず、日銀が今後も大量に国債購入などを続けて市場に緩和マネーを流し続けざるを得ない経済状況が続く場合、金利は上昇しにくく、資産バブルが継続し、結果的に不動産価格は高止まりしてしまうでしょう。

その先に見えるものは資産バブルの崩壊ですが、近い将来を心配しつつも日本経済はそれどころではないというのが現状だと思います。不動産投資市場や株式投資などで儲かりすぎて笑いが止まらない方にとっては、本音は「バンザイノミクス」が継続してほしいと願っている方も結構いるように思います。

 

現在の「バンザイノミクス」は実際のところ、株高と景気の良さが連動しているわけではありません。

今や日本経済含めて世界経済に対して巨大な影響力を持つ海外投資家は、日本の円安&株高でどんどん儲け続けるためにも、日銀が金融緩和マネーを市場に流して円安&株高を下支えしてくれることを望んでいて、その意向を無視できない日本政府が(かつてのアジア通貨危機のような日本経済の危機を恐れて)玉砕(BANZAI)政策をとるしかないのかもしれません。

海外メディアが現状の日本の経済政策を、「玉砕」という単語に引っ掛けて「バンザイノミクス」と評しているのも分かるような気がします。

そのツケは近い将来、日本経済に跳ね返ってくるでしょうね・・・。ソロス氏のような巨大な影響力を持つ海外投資家から見放された場合、日本経済は目に見えて困窮の道を突き進むと思います。

 

「バンザイノミクス」や海外投資家に翻弄されない不動産投資

もはや、マクロ経済政策は一つ(一人)のヘッジファンド等の投資家により脆くも崩れさる危険性があることから、ミクロの視点でご自身の資産形成と資産防衛をお考えになるのが良いでしょう。

すなわち、分相応な資産形成をしつつ、分相応な資産維持管理を継続し、ほどほどの幸せを得るのがセーフティーです。

分不相応で多額の借金に依存するといったリスクが大きい不動産投資は、突然発生するリーマンショックのような世界の金融破綻や、世界の投資家のご都合主義による金融市場の乱高下に巻き込まれて取り返しのつかない損失を被る可能性があります。

借金による不動産投資をしている場合、金利上昇と巨大地震による建物崩壊などは、保険だけではカバーできないですからね。特に多額の借入に依存して不動産投資している方は、金利が上がらない間&巨大な地震に見舞われない間に、できるだけ借金を減らしておきましょう。

もしくは、冒頭に記載しました儲かりすぎて笑いが止まらない不動産投資家さんたちの通り、驚くような高額で売却できる現在の不動産投資市場で換金して、「バンザイノミクス政策=資産バブル」破たん後の次のチャンスまでゆっくりお休みいただくのがベターですね。もっともっとと動きすぎると足元をすくわれるかもしれません。

まあ、儲かりすぎたら、相応の税金を納付して、今はゆっくりしているのが得策かもしれません。