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不動産取引7年ぶりに5兆円台!バブルの恩恵は一部 アベノミクスはどこへ?

2015.2.6|不動産投資ニュース

20150206

高額な不動産取引が行われ続ける今、不動産を高額で売却できた投資家中心にバブルの恩恵を受けています。一方、先日来日したトマ・ピケティ氏が「不平等が拡大」と警鐘を鳴らしています。アベノミクスを支える思想と呼ばれていた「トリクルダウン理論」についても、「トリクルダウンでなく、経済の好循環目指す」と安倍首相は言い始めています。

 

昨年は、一般企業や国内外の機関投資家等による不動産投資がますます拡大しました。

不動産取引 7年ぶり5兆円台 14年、低金利・先高観で
2014年の取引額は前年比16%増の5兆500億円強となり、7年ぶりに5兆円台を回復した。地価上昇への期待や低 金利を受け、都市部を中心に売買が増えた。円安で日本の不動産価格の割安感が強まった海外の企業やファンドの取得額が前年の3倍近くに増え、初めて全体の約2割を占めた。

東京の不動産価格はピークに近いです。

言い換えれば、想像以上の高額で所有不動産を売却するチャンスでもあります。

アクサ・リアル日本代表:東京の不動産価格はピーク近い
(ブルームバーグ):日本国内の不動産投資の活況が続く中、欧州系不動産運用会社アクサ・リアル・エステート・インベストメント・マネジャーズ・ジャパンの唐澤哲也代表取締役は、「東京の不動産価格はピークに近づきつつある」との認識を示した。

唐 澤氏はインタビューで、世界的な低金利下で利回りを確保できる投資先として不動産が注目される中、日本市場でも円安に伴う割安感や良好な融資環境を背景に 活発な取引が続いているとの見方を示した。ただ、「市場での物件取得競争も強まり、買うのが困難な状況だ」と過熱感も指摘、「良い値段が付けば売っても良い環境だ」と述べた。

 

世界の不動産投資も盛況です

先月中旬に速報として報道された2014年の世界の不動産投資状況についての確報です。

[確報-2014年通年] 2014年世界の不動産投資額、5年連続増加の7,100億ドル(20%増)、リーマンショック前の9割超回復

総合不動産サービス大手のJLLグループ(本社:イリノイ州シカゴ、社長兼最高経営責任者コリン・ダイアー、NYSE JLL、以下:JLL)がまとめた投資分析レポートによると、2014年通年の世界の商業用不動産投資額は、前年同期比20%増の7,100億ドル※1となり、2010年以来5年連続増加、リーマンショック前の2007年の9割の水準に回復しました。日本の2014年通年の投資額は、前年同期比6%増の435億ドル(円建てでは17%増の4兆6,600億円※2)となり、円建ての投資額としてはリーマンショックが起きた2008年と同程度の水準となりました。2015年の世界の商業用不動産投資額の見通しは、7,400-7,600億ドルと予測しています。

なお、当レポートは1月15日に速報をリリースしています。(速報発表値:世界の2014年通年の投資額は7,000億ドル(前年同期比18%増)、2014年第4四半期の投資額は2,180億ドル(前年同期比4%増)、日本の2014年通年の投資額は438億ドル(前年同期比7%増)、2014年第4四半期の投資額は152億ドル(前年同期比32%増)、2015年世界の投資額予測は7,300-7,500億ドル)

JLLリサーチ事業部長赤城威志は次のように述べています。
「日本の2014年第4四半期の投資額は、前年同期比で1.5倍と大幅増加し、第4四半期のみの投資額としては観測史上最大となりました。2014年通年では、前年比倍増した2013年の投資額からさらに拡大し、依然として新規上場や物件取得の動きが見られる上場REITに加え、私募REITやその他ファンド、海外投資家による投資額の増加が目立ちました。多くの企業の決算期である3月が含まれる来期の投資額に期待が高まります」

アジアの不動産市場も活況です。

アジアの不動産市場、史上最高に

JLLによると、米国の量的緩和が終了し、金利が上昇するとの懸念が一部の投資家の不動産資産売却を促しているが、政府系ファンドやプライベート・エクイティ・ファンドなどが、国をまたいだ不動産投資に対して意欲を高めており、購入をけん引すると見ている。

14年10~12月の商業用不動産の取引額は大きく増え、13年の同じ期に比べ17%増の430億ドルに達した。JLLは、14年後半のこうした勢いが継続し、15年の取引額が15年末までに史上最高の1400億ドルの取引額を記録するとみている。

JLLによると、市場をけん引しているのは国をまたいだ投資家だ。「投資家は、アジア太平洋全域を見渡して投資地域を決めるなど、投資により柔軟になって いる。また、韓国、インド、タイなど新興市場へも新たな投資家が参入してきている」とJLLのアジア太平洋資本市場の調査部長、メーガン・ウォルターズ氏 は述べた。同氏によると、14年10~12月の国をまたいだ不動産取引は全取引額の36%を占めたという。

中国系の投資は引き続きグローバルな不動産投資を継続中です。

著名な不動産探す中国勢、NYやロンドンの物件価格押し上げ
(ブルームバーグ):ニューヨークの最も有名なホテル、英ロイズ保険組合のビル、英最大手の法律事務所の本社ビルの共通点といえば、オーナーがいずれも中国の保険会社ということだ。

(中略)
グリーンモーガン氏は「中国の保険会社には政府の後ろ盾があり、競合会社より先に国際的な物件を確保したい考えだ。最高額を支払う意欲も高まっている」と述べた。

 

富裕層がさらに富裕になっても、利益が再分配されるとは限らない

このような活発な不動産取引により富裕層がますます富むと、一般市民にもその恩恵が伝わってくるのでしょうか?

アベノミクスを支える思想 トリクルダウンとは?
アベノミクスの理論を支える根拠であり、バブル崩壊以来、日本の経済政策の根拠となっているのが、「富める者が富むことで,貧しい者にも自然に富が浸透す る、滴り落ちる(トリクルダウン)」というトリクルダウン仮説(理論)である。簡単に言うと、金持ちがお金を得て、消費をするようになると、そのお金が周 りに回って貧乏人にもめぐってきて、貧乏人も豊かになるということだ。

この理論、実証されているどころか、逆に世界的にも疑いの目を向けら れている理論でもある。アメリカでは共和党以来の経済政策はトリクルダウンに基づいて行われたが、景気は回復せず、結果として富裕層を拡大させるだけに終わってしまった。政策としては失敗の烙印を押され、オバ大統領からも批判を受けている。

実際、日本でも、企業はコストカットによって利益を積上げており、企業の利益剰余金は300兆円を超える水準となっている。しかし、雇用の拡大や賃金の上昇につながっていないのが現実だ。そのためアベノミ クスも「家計から吸い上げたお金を企業にばらまく」「企業優先だ」という批判を受けてもいる。


トリクルダウン理論(とりくるだうんりろん)
トリクルダウン(trickle down)は浸透を意味する英語。トリクルダウン理論とは「富裕者がさらに富裕になると、経済活動が活発化することで低所得の貧困者にも富が浸透し、利益が再分配される」と主張する経済理論。

この理論は開発途上国が経済発展する過程では効果があっても、先進国では中間層を中心とした一般大衆の消費による経済市場規模が大きいので、経済成長にはさほど有効ではなく、むしろ社会格差の拡大を招くだけという批判的見方もある。

ところが、どんな時でもトリクルダウンが起こるということではなさそうです。

どんな場合でもトリクルダウンが起こるわけではない

公的な富と民間の富。これをどう配分するかということは、課税、つまり税制をどうするのか。例えば、労働所得に対して、どう課税をするのかということで決めることが出来ると思いますし、若い人たち、例えば相続した資産がない、自分が提供できるのは労働だけであるということになると、これは非常に厳しい情勢と いうことになるかもしれません。
特に不動産に対して、地価が非常に高いということになると、なかなかアクセスができないということになってしまうかもしれません。なので、問題はどう税制をリバランスするのか。若い人たちにメリットがあるように、どう作り変えていくのか、ということになると思います。

先月、安部首相ご自身も、参議院本会議においてトリクルダウンは目指さないという趣旨の発言をしました(苦笑)。

トリクルダウンでなく、経済の好循環目指す=安倍首相

[東京 28日 ロイター] – 安倍晋三首相は28日午後の参議院本会議で、安倍政権として目指すのはトリクルダウンではなく、経済の好循環の実現であり、地方経済の底上げだと述べた。
相原久美子氏(民主)の質問に答えた。
安倍首相は「政府がどれだけ所得再配分を繰り返しても、持続的な経済成長を通じて富を生み出すことができなければ、経済全体のパイも個人の所得も減る」と指摘。

 

 世界の著名な有識者による警笛

金融サイクルで判明! ジム・ロジャーズが語る「今から日本で起きる悲劇」
──日本が崩壊するシナリオが現実になるのを防ぐには、なにをすべきでしょうか。

【ジム・ロジャーズ】増税ではなく、減税です。財政支出も大幅に削減しなければダメです。日本は先進国のなかでも突出して借金を多く抱えています。しかも少子高齢化で人口は減少している。このような状況ですべきことは少子化対策か移民の受け入れですが、日本はそれもやろうとしない。

先日来日して多くの注目を集めたトマ・ピケティ氏も、一部の富裕層のみ恩恵を受けていることに警笛を鳴らしています。

トマ・ピケティ
ト マ・ピケティ(Thomas Piketty、1971年5月7日 – )は、フランスの経済学者。クリシー出身。経済学博士。パリの高等師範学校の出身で、経済的不平等の専門家であり、特に歴史比較の観点からの研究を行って いる。2002年にフランス最優秀若手経済学者賞 (Prix du meilleur jeune économiste de France) を受賞。パリ経済学校 (École d’économie de Paris, EEP) 設立の中心人物であり、現在はその教授である。


ピケティのデータベース 富裕層だけにバブルの恩恵
所得上位層のキャピタルゲイン(金融資産などの値上がり益)を含んだ平均所得の推移は目を見張るものがあります。たとえば、1985年に1.6億円だった 上位0.01%の所得は、平成バブルで急峻(きゅうしゅん)な山を築き、頂点の90年には6.6億円と85年の4倍以上に膨張しました。
バブル期ほどではないにしろ、同様の「山」は2000年代半ばにもう一度姿を現します。この時期はリーマン・ショック前までの好景気に該当し、株や不動産などの資産価格が上昇したからでしょう。

以前、

不動産売却で多額の利益  アベノミクス転じて「バンザイノミクス」は危機的状況
アベノミクスと日銀の金融緩和により数千万円~数億円の売却益(キャピタルゲイン)を不動産で得た方が多数いらっしゃいます。超低金利・株高・円安の日本経済は、「バンザイノミクス(Banzainomics)」「日銀のブラックホール化」と海外メディアから評されています。

「バンザイノミクス」、これは漫才用語ではありません。アベノミクス転じて、日本経済が玉砕(BANZAI)するのではという警笛の意味を含んでいます。

という記事を書きました。ご参考までにご一読ください。

 

不動産投資の概念も修正が迫られることに

最近の賃貸マンションやアパートの家賃は相当下落しており、2~3割キャッシュフローが落ちていることは珍しくないと思います。特に社宅として大手企業中心に借りていただいていたファミリータイプは、相次ぐ社宅解約に輪をかけて所得の減少等で需要が減少し空室が多くなっています。

以前、

2015年不動産投資業界はどうなる? 過去最低金利、低利回り、相続税対策

中小企業中心に多くの会社員は、いくら金融緩和になったとはいえ増税&円安市況の物価上昇率に賃金上昇が追いついていないと思います。ですから、居住用投資不動産(アパート/マンション一棟)に入居している人の家賃負担能力がアップしてはいないと思います。
そうすると、勤務先の業績に左右されるボーナス収入如何では、今まで通りの家賃や更新料の支払いができない人も出てくるので、空室率がアップしてしまう可能性があります。
ビル投資をしている方にとっては、テナントの多くは中小企業だと思いますので、入居率はどうしても景気動向に左右されます。私たちの見立てでは、来年2015年はなお一層中小企業の多くが不景気で悩むように思っています。
以上のように、来年はこれまで通りの不動産投資事業が成り立たない可能性があります。ですから今年以上に不動産投資に対する慎重な姿勢が求められます。安易な不動産投資は、あっと言う間に身の破滅への道へと走ることになりますのでご注意ください。

という記事を書きました。

少子高齢化、余剰な賃貸住宅、格差社会の広がりは、これまでの我が国の日常生活や社会ルールが通用しなくなる可能性があります。

空室対策として賃料を値下げし続けてしまっては、不動産投資事業が成り立たない状況に陥るものです。

不動産を持っていれば何とかなる時代は過ぎました。さらに広がるグローバリゼーションにより、我が国も外国の方と共存共栄することが必須の時代となりました。これからは、いかに投資した不動産投資のリスクを軽減して事業を安定的に成長させていくかが問われる時代に入っていると思います。

言い換えれば、しっかりとした守りの体制を構築しつつ、より具体的で現実的な戦略のもとで着実に前進する必要があるでしょう。