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戸建ては不動産投資の対象にならないのか?

2015.3.9|コラム

20150309

アメリカ等欧米では中古の一戸建を購入後、住みながらDIYでリフォームをし、購入価格より高く売却している人が結構います。一方、日本では中古住宅は盛り上がらず、新築住宅を好む傾向にあります。よく聞く理由は、日本人は新しい物が好きだから。本当にそうでしょうか? そして、日本の家は不動産投資の対象になりにくいのでしょうか?

 

まずは先日の日経新聞の記事を拝読してみましょう。

日本の家、なぜ資産にならない 取引情報乏しく
「日本では住宅を『買う』と言いますが、住み替えが頻繁な米国では『投資』という意識が強く、買ったら終わりではなく、高く転売できるように購入後はメンテナンスするのが常識です」

(中略)

不動産コンサルタントの長嶋修氏は中古取引の問題点として仲介業者による「情報の囲い込み」を挙げる。物件の売却を依頼(専任媒介)された業者は業界ネットワークに登録して情報を公開する義務があるが、実際は隠蔽行為が横行しているという。公開して他の業者が買い手を見つける前に自社で見つけ、売買の双方から手数料を受ける(両手取引)ためだ。
これはより早く高く売りたい売り手の期待に背くうえ、利益相反になる可能性もある。昨年参入したソニー不動産は両手取引を原則禁止し、売却依頼を受けると情報を広く流して買い手を探す。執行役員の風戸裕樹氏は「中古物件が高く売れない一番大きな理由は情報の囲い込み」と話す。
米国では情報囲い込みには罰金や免許剥奪など厳しい罰則を科し、詳細な情報が幅広く公開されている。このため、買い手は日本のように複数の業者を巡って物件情報を探し回る必要がない。

木造住宅の法定耐用年数と、不動産業者の情報隠蔽が、日本の一戸建を不動産投資の対象にしにくくしている大きな要因とのことです。

先日、

今、「持ち家」か「賃貸」か?
多くの賃貸住宅が存在し、震災リスク等もある中、多額の住宅ローンを組んでまでマイホームを取得する必要があるのか、あなたは「持ち家」?「賃貸』?

という記事を書きました。そもそも、マイホームを購入せずに賃貸住宅でも問題ないという割合も相当数存在しています。新築住宅であっても販売が決して好調とはいえない中、今後中古住宅を購入する需要がどんどん盛り上がるかどうかについては疑問です。

 

中古住宅の流通が進まない問題の本質は?

日本人が中古住宅を購入しない理由は、日本人が新築が好き(新しい物が好き)という単純明快な理由によるものであるという声をよく耳にします。本当にそうでしょうか?

消費者が中古住宅を購入しない理由には矛盾が多く、中古住宅を買わない理由の本質は別にあるのではないかと指摘しているレポートを見てみることにしましょう。

既存住宅流通の本当の阻害要因と活性化策(PDF)
リクルート住宅総研『既存住宅流通活性化プロジェクト 既存住宅再考』より

行政や業界がこれまで取り組んできた、既存住宅市場の様々な「不」を解消する取り組みは、既存住宅の流通市場の整備には不可欠なものであろう。しかし、新築と比べた場合の既存住宅の魅力をアップしていかなければ、狙った効果は期待できまい。既存住宅の第一のボトルネックは見た目の悪さであることは明らかである。他人の痕跡に潔癖で自分の使用による劣化は寛容な日本人の住意識の矛盾が、市場でミスマッチを起こしているのである。次にあげられるのは、流通市場の不透明さではなく、リフォーム市場の不透明さである。

不動産業者のサポートのなさは、宅建業界の怠慢ではなくシステムとしての問題である。宅建業者は建築やリフォームのプロではない。既存住宅流通市場において、宅建業法に基づく不動産仲介というシステムでは、消費者のニーズに応えられない領域が存在しているということである。

「他人の痕跡に潔癖」

ですが、

「自分の使用による劣化は寛容」

というのが日本人の住意識とのことです。

確かにそう思う一方、ブランド物など高価な衣服のリサイクルが進んでいるなど、日本人の意識が従来と変化している可能性もあります。衣服と住宅では購入単価が大きく異なりますので一概に比較できるものではありませんが、本来手に入れることのできない高額商品をリーズナブルな価格で入手できるのであれば、中古商品でもよいのではないかという意識を持つ割合が増えていると思います。

 

どうすれば一戸建住宅も不動産投資の対象になるか

上記レポートはさらに、中古住宅の流通を進めるためには、リノベーションがかぎを握っていると述べています。

現在住宅購入を検討している層に対して実施した調査では、リノベーションの簡単な説明と数点の実例写真を見せただけで、新築をメインに考えている並行検討者の27%、新築しか検討していない層でも11%が、中古住宅のリノベーションを住宅の取得方法として「非常に魅力的」と回答したのである。この割合だけ取り出してみても、住宅購入検討者の7割強を占める新築希望者の17%にあたり、注文住宅と分譲住宅の新設着工数に当てはめれば、単純計算で十万戸程度の需要に相当する。

このレポートにある通り、この数字は机上の空論にすぎません。しかし、今の時代の消費者の心を動かすリノベーションが可能な建設・リフォーム業の専門家と、割安(場合により格安)な中古住宅を探すことに長けた不動産業者がコラボレーションすることで魅力的な中古住宅の流通が進む可能性があります。

ネット社会が普及し、こうした魅力的なリノベーション住宅を宣伝する環境は整いました。そういった住宅を購入したい潜在的な需要はかなりあるでしょう。そういった方々に割安で魅力的な一戸建を提供できる人は、一戸建でも充分不動産投資の対象になりえます。

ただし、中古住宅の流通が進まないという現実が示す通り、建築・リフォーム業の専門家と不動産業者がコラボして成功した事例は少ないです。リノベーションの大切さは、別に最近指摘されたわけではありません。その本質的な問題は何でしょうか?

 

割安(格安)な中古住宅を購入できるかどうかが肝心

たとえ魅力的なリノベーションを施した中古住宅であっても高価すぎては購入できません。リノベーション住宅が今一つ普及せずに中古住宅の流通が盛り上がらない要因はここにあります。リノベーション費用を上乗せすると思いのほか割高な販売価格になってしまうのです。

 

中古住宅の流通促進=中古住宅が不動産投資の対象

⇒お客様の満足度を満たす価格と質、特に魅力的な住宅価格が不可欠

であると思います。

安かろう悪かろう(価格優先)であったり、消費者の購買力を無視するがごとくの割高なリノベーション住宅を企画する専門家が多いように感じます。

 

転売先の(中古住宅の購入を検討する)お客様にとっては、現在の新築住宅では手に入るのが困難な好立地の物件をリーズナブルな価格で購入できることが 最大のメリットの一つだと思います。さらに、通常の新築住宅にはあまり装備されることのない豪華なシステムキッチンや、高価な無垢材の床・扉等が装備され ている一戸建であれば、訴求力が一段とアップするでしょう。

家は、子供の成長過程にあわせて買い替えるのが普通であった時代がありまし た。しかし現代は、35年間の住宅ローンを組んで一生に一度の買い物となりました。どうせ長く住むのであれば、毎日の仕事場の一つであるキッチンスペース を豪華にしたり、休日の疲れを癒す空間として広いバスルームを設ける等、一部分にこだわりを持ちたいお気持ちは理解できます。

時代の流れと共に需要が変化していることに敏感になればなるほど、質のよい中古住宅が不動産投資の対象になりえることを実感できると思います。例えば、子供を持つ家庭 は、幼少の子供が自宅で飛び跳ねた騒音のクレームを受けて生活しにくくなります。そのため賃貸住宅であっても1階を好む方が結構いらっしゃいます。加えて 未曽有の大地震がいつ襲ってくるかわからない昨今、低層の一戸建に住みたいと思う方は増えているように思います。

 

不動産投資するなら特長のある一戸建に

ご参考までに、中古住宅流通を専門で行っていない私たちが、お客様からの特別のご依頼に基づきリーズナブルな価格でご紹介させていただいた中古住宅(一戸建)の事例を記載します。

 

・土地がかなり広くて、ゆとりを持った家庭菜園も可能となる中古住宅
(不動産競売の特別売却で購入した一戸建)

・親子家族が同居せず、実質的に二世帯住宅となる自宅の隣地に建つ中古住宅
(不動産競売で落札した一戸建)

・不審者等子供絡みの事件が多い中、通学先のすぐ近くにあり広めの土地が付いた中古住宅
(別のお客様のお住み替えに伴う一戸建)

 

これらの中古住宅(一戸建)を購入した方は全て譲ることのできないこだわり(価値観)をお持ちでした。現実的には、そういった中古住宅に出会うことは容易ではありません。言い換えれば、お望みの中古住宅をご紹介可能であれば、(よほど割高で購入が困難でない限り)多少の価格の前後には目をつぶってくださる可能性が高いです。

不動産投資に関する記事で度々記載していますが、不動産に対する価値観は人それぞれ異なります。ある人には割高であっても、別の方には心地よい価格という場合があります。その価値観のギャップを埋めてマッチングすることのできるような不動産エージェントとの出会いが、一戸建住宅に対する不動産投資を成功に導く大きな要因の一つです。不動産投資ではなく、純粋に魅力的な住宅を購入する選択肢として中古住宅をも検討する余地のある方も同様ですね。

ただしどんなに腕の良い不動産エージェントとの出会いが与えられたとしても、意思疎通がしっかりしていないと、提供者側から独りよがり的な中古住宅ばかり紹介されてしまいお客様ご自身が困惑した挙句、魅力的な中古住宅の取得の可能性を残念ながら断念せざるをえない事態になります。その点はぜひご注意くださいね。