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ヤフー&ソニーの提携で「不動産流通革命」は起きる?

2015.7.31|不動産投資ニュース

20150731

ヤフーとソニーは不動産事業で提携を発表しました。不動産取引の透明性に関する問題が指摘されている中、提携した両社が発表の席で用いた刺激的なキャッチフレーズ「不動産流通革命」について、本気度を問う記事が掲載されていました。

今月、

ヤフーとソニー 不動産事業で提携し「不動産流通革命」を目指す

「不動産流通革命」という刺激的なキャッチフレーズのもと、日本の中古住宅の流通革命を起こそうとしているようです。日本の不動産取引を、世界で最も洗練されたものにするというような意気込みが伝わってきます。

という記事を書きました。
その提携に関しての記事が掲載されていましたのでご紹介します。

Yahoo! とソニー不動産の「不動産流通革命」は本気か?(2)

storie編集部では、今年の1月下旬にジャーナリストの田原総一朗氏とともに、ソニー不動産 執行役員 風戸裕樹氏に取材している。(この記事は2015年7月7日storie に掲載された記事です)

そのインタビューで風戸氏は、今の不動産業界の問題点として、「一番の問題点は、透明性が低いところ」と答えている。その理由について、「不透明な理由は、仲介会社が持っている情報の全てを売主様・買主様に伝える必要がないからです。例えば、売主様が5000万円で売りたいとします。買主様は、4000万円で買いたい。

売主様は、5000万円でなければ売りたくないのですが、最悪4600万でもいいですよと言っている。買い手は4000万と言っているが、この物件なら4600万近くてもいいよと思っている。間に立っている仲介会社は、この状況ですぐに4600万でマッチングさせようとする」と答えている。

「不動産流通革命」の言葉の意味を、ソニー不動産 風戸氏の発言から忖度すると、どうも不動産取引の「透明性」を徹底させることにヒントがあるようだ。「透明性」というとわかりにくいが、反対の業界の「不透明」な点で、真っ先に頭に思い浮かぶのが「囲い込み」という言葉だ。

(中略)

少なくとも国内で圧倒的なメディアパワーを持つYahoo!と、不動産業界内のしらがみが薄いと思われるソニー不動産は、それが実現できる数少ない企業の連合だろう。

「不動産流通革命」の本気度を詳細に検討した記事というよりは、現状の不動産取引における不透明さ、主に「囲い込み」営業スタイルの問題を解決するための、有力な候補である両社に期待する応援的な記事のように思います。

「囲い込み」営業スタイルの問題については、以前、

流出する爆弾データ「囲い込み」不動産営業スタイルが横行か

で記載しましたのでご参考までにご一読ください。

 

実際のところ、この提携の意図は、「不動産流通革命」を本気で起こすというより、ソニー側の都合による金融事業との相乗効果を狙うビジネスの実現ではないかと思ってしまいます。

ソニー不動産:金融事業と相乗効果見込む、数年以内の上場も視野 (1)

エレクトロニクス事業が看板のソニーだが、グループ全体で最も多くの利益を稼いでいるのは自動車保険や銀行サービスなどを手掛ける金融事業。今期の営業利益見通しは1750億円と、連結ベースでソニー全体の55%を占めると予想している。西山社長はこの金融事業と不動産事業のシナジー効果を見込んでいる。 同社長は「不動産の取引には、ローンや保険など、資産コンサルティングが必要となるので、これらの事業と必ずシナジーが生まれる」と分析し、「必ずソニーの事業ポートフォリオの中で必要になる」と述べた。

囲い込み営業は決して良い事ではありませんが、そう簡単に囲い込み営業がなくなるような業界ではありません。ヤフーもソニーも、多くの人々が認める一流企業ですが、不動産流通に革命を起こすために現状の問題に本気で挑むほどの勢いはまだ感じられません。

ところで、ソニー&ヤフーの提携話で話題になるのはソニー不動産が大半ですが、もう一方のヤフーについて、特にヤフーの経営者について見てみることにしましょう。

 

今のヤフーの社長はどんな方?

ヤフーの社長&経営者といえば、井上社長&偉大な孫さんというイメージをどうしても持ってしまうのですが、数年前にヤフーの社長は交代しています。

では、今の社長、宮坂社長とはどういう方でしょうか。

不透明さに溢れる(苦笑)不動産業界に、具体的な流通革命を起こすことができる可能性がある方でしょうか?

宮坂学 ヤフー株式会社 代表取締役社長
時には一人になって、考えてみよう

もともとは新聞記者になりたかったんです。ただ当時はバブルで金融業界に進む同級生も多かった。結局、ある新聞社と保険会社から内定をもらったのですが、しっくりこなくて、内定を辞退しました。

実は祇園で働いていたときに、大企業には行きたくないと思うようになりました。その原体験は接待です。当時はバブルの絶頂期。大企業のサラリーマンたちが会社のお金でどんちゃん騒ぎをして帰っていく。一方で、うちの親は田舎でコツコツ仕事をして、自分の生活を切り詰めて私の学費を払ってくれている。当時は若かったこともあり、ずるいことをする人間にはなりたくない。そんなイメージを持っていたのです。

(中略)

真面目にきちんと仕事をやっている人が、相応の生活ができるような会社や世の中にしていきたいと思っています。最近は「グローバル競争を勝ち残れ」という声をよく耳にしますが、100人のうち数人はできるかもしれませんが、大半の人は無理なような気がします。 もし英語やプログラミングができなくても、真面目にチームのためにコツコツと献身的にやる人、物事を素直に吸収して仕事をしていく人が、きちんと食べられる。そんな会社や社会にしていきたいと思っています。

記事にある

ずるいことをする人間にはなりたくない。

という思いは、ぜひ初志貫徹していただきたいと願います。その上では、「当時は若かったこともあり、」という前置きは不要ですね。そもそもまだお若いのですから。

 

不動産流通革命を起こすために最低限必要なことは?

両社が提携し「不動産流通革命」を起こす目的の根幹は、「ずるいことをする人間の集団(不動産業界の一部)」が行う、ずるいこと(「囲い込み」営業)を排除することにあると思います。

 

ちなみに、ずるいことといえば昨今の東芝不正会計問題が挙げられると思います。上司の命令(指示)であれば、ずるいこと(不正)と分かっていても、自らの生活と実ポジションを鑑みると、従わざるを得ない日本企業の典型的な問題の一つではないでしょうか。

不動産業界は玉石混合で、海千山千の業界です。以前記載した次の記事のような「うそのような本当の話」は、日常茶飯事といっても良いです。

不動産投資にありがちな「怪しげなお話」

以前私が関わった不動産投資案件で怪しげな話に遭遇しました。某駅前十数億円の商業ビル一棟の仲介案件だったのですが、買い側の仲介業者として随分と歯が欠けたおじさんに呼び出されたのでした。。。

ぜひ、ソニーとヤフーには、不動産業界に新風を吹き込む第一歩になっていただきたいと切に願います。そのために最低限必要なのは、ずるいこと(不正なこと)を絶対にしないという高潔な志と、性善説ではない(いわゆる性悪説の類い)どろどろとした不動産業界の闇の世界での経験ではないでしょうか。敵を知らずして、敵を倒すことは困難なことだと思います。きれいごとだけでは、不動産業界に逆に排除されて、せっかくの有力な提携話が絵に描いた餅になりかねません。

 

本当は私たちも「不動産流通革命」に、具体的なお手伝いをしたいくらいです(笑)。

そのためには、まさに上記記事のタイトルの通り、

「時には一人になって、考えてみよう」

という時間も必要ですね。