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収益物件コンサルティング|破綻ファンドの商業ビル一棟の購入支援

2014.9.19|コンサル・投資実績

2013年に、破綻状態の不動産ファンド所有の商業ビル購入をお手伝いさせていただきました。表面利回り15%強でしたので、現在ではとても困難な高利回りです。もし、今転売すれば数億円の転売益(キャピタルゲイン)が可能な物件になりますね。

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この物件には以下のような特徴がありました。

  1. 所在地が東北某所
  2. 最寄駅から徒歩10分圏内
  3. 土地が広く、建物も大きい
  4. 物件の建築時期:平成初期(いわゆるバブル期の延長)
  5. 大手ゼネコン建築により建物のグレードが高い
  6. 空室が多い
  7. 金融機関の物件評価が高い(積算価格の評価が高い)

 

物件の売買は入札制になっており、入札窓口は世界的にも有名な不動産企業グループ。私たちは日頃お世話になっている大手不動産会社の担当者から内々でこの物件情報をもらいましたが、その時点で、入札の締切まで2週間しかない状況でした。

 

時間はあまりありませんでしたが、この情報を紹介したお客様には超特急で検討いただいたき、結果、この入札に参加するという返事をいただきました。

 

お客様の希望もあり、融資の相談を物件所在地の地銀にすることになり、その為の怒濤の資料作り開始です。しかし、売主の不動産ファンドは、海外の不動産投資マネーも集めていたのか、各種資料のほとんどが英語。。。不動産にまつわる用語、例えば「共益費」は、資料では「CAM」。この状態で資料を提出すると、金融機関に正しく意味が通じず、必要以上に融資審査の時間がかかる可能性があったので、まずは資料を全て和訳するところから始まりました。

 

一通り和訳を含めた資料の準備が完了した後、金融機関との相談、現地調査のために東北に向かいます。時間的、物理的に何度も足を運ぶことはできないのと、海外出張も多いお客様へ融資状況を直ぐに報告し、次のステップへ進まないと間に合わないので、今日その場で融資については一発OKに近い回答をもらう必要がありました。

 

しかし、そんなにうまくいく訳がありません。

 

金融機関へ相談に行くと、融資担当者が首をかしげつつ、私に言いました。

 

「お話しはわかりましたが、どうしてこのような(社会的に地位のある)お客様と、御社(私たち)が直接やりとりしているのですか???」

 

つまり、私が怪しい不動産ブローカーで、ブローカー話をしている?! と取られてしまったのです。残念ながら、私の話を真に受けていないようでした。普通では考えられないスピードで資料を作り、現場を調べ、出張してここまでやってきた自分としてはトホホな流れでしたが、客観的に考えると、そう思われても仕方がない状況かもしれませんね。

  • 買主は業界では有名な地位のある事業家
  • 物件は、珍しい高い利回り&高い積算価格評価
  • 入札窓口は、世界的にも有名な不動産企業グループ

こんなピカピカの案件に、なぜ千葉県松戸市の不動産業者の一担当者が携わり、かつ直接購入の依頼を受けることができるの? という話です。私が逆の立場でも疑ったかもしれません。

 

まさか、私自身が疑われて案件が進まないとは思いませんでしたが、ここまできたら正直に全てを伝えて、決して怪しい案件ではなく、私も怪しくない(苦笑)ことを分かってもらうしかありません。最終的に、担当者さんには諸事情を理解いただき、このお客様でこの物件であれば、前向きに審査を進めてもらえることになりました。出鼻はくじかれましたが、幸いなことに、この担当者さんは相当優れた実務能力を持っていたようで、審査OKという回答をいただくまでにはそんなに時間を要しませんでした。(後日談ですが、この支店内では、2013年で最も高額な融資案件になったようです。)

 

その後は、できる限り安くご購入できるようにお客様と入札価格を検討し、売主サイドと交渉を重ねました。入札価格の検討プロセスや、交渉過程は申し訳ございませんが社外秘ですので書けません。

 

これならギリギリの価格で入札を勝ち抜けそうだ! と手ごたえを掴んで間もなく、次のまさかの発生です!

 

入札締切直前に「満額で買います!」というオファーが、売主に届いたという情報が入ったのです。聞くところによると、その買主は物件を見ておらず、入札するにあたり売主に一つも質問すらしていないとのこと。そもそも、正確な買主が誰なのかさえ不明らしい、、、これは本物のブローカー話ですね。しかし、売主としては、怪しいブローカー話とはわかっていても、満額のオファーを無視できません。その後、日数を要しましたが、この怪しい話がブローカー話であることが確認され、私たちのお客様と取引が成立する運びとなりました。超短期間で、東北出張、お客様とのメール&電話100回以上、ブローカー話数回、私にとっても今までで一番ギリギリのラインでまとめ上げた案件になりました。

 

多忙な買主様には時間がない中で多大な協力をいただきました。本当に感謝しており、時間がない中での決断には頭が下がる思いです。また、金融機関の担当者さんや、情報をいただいた大手不動産会社担当者さん、ご協力いただいた皆様にも心より感謝しています。詳しくは分かりませんが、どうやら金融機関の担当者さんは、その後ご栄転されたようで、私としても嬉しい限りです。

 

今回の破綻ファンド案件は、巨大なマネーが不動産ファンドに流れ込み、不動産取引が低利回りで成立しつつある現在の不動産市況の近未来を予見しています。リーマンショック前は高額(低利回り)な価格で、現地で物件を見ることもなく不動産ファンドは物件購入のオファーを出していました。その不動産ファンドが破綻すると、不動産ファンドが持つ不動産を安く購入したい方にはチャンスですが、泣くのは多くの出資者(投資家)ということになるのです。現在の不動産ファンドのいくつかはその運命を辿ることになるのでしょうね。