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「2020年基準地価」の背景にあるもの

2020.10.12|コラム

国土交通省が発表した2020年基準地価(7月1日時点)は、コロナ禍で訪日客需要が消失する等の影響を受け、全国の全用途平均で3年ぶりの下落となりました。訪日客の需要で潤っていた地域の失速が鮮明になる一方で、上昇傾向にある場合もあり、今後も価格上昇の可能性がある地域も少なからずあります。

(社説)基準地価 注視すべき下落の背景

国土交通省が発表した今年7月1日時点の都道府県地価調査(基準地価)で、全国・全用途の調査地点の平均が、3年ぶりに下落に転じた。地域別では地方圏と名古屋圏の下げが大きい。用途別では住宅地、商業地とも値下がりしたが、住宅地の方がやや幅が大きめだ。

東京や大阪は過去1年をならせばほぼ横ばいだ。だが、半年ごとにみると昨年後半の上昇から、今年前半は下落となり、商業地は東京が半年で1・6%、大阪は2・2%落ち込んだ。大阪・心斎橋では昨年後半に17・6%上げ、今年前半に18・8%下げた地点もあった。

国交省によると、新型コロナの影響は、用途ではホテルや店舗向け、地域では観光エリアや名古屋のような製造業が盛んな場所で大きめだった。一方、再開発計画がある札幌や福岡の地点では、上昇が続いているという。

土地価格については、「公示地価」「基準地価」「路線価」という三種類が存在します。それぞれ調査主体や活用目的が異なります。今回発表されたのは、そのうち「基準地価」でした。それぞれの違いについては、明海大学の中村教授が解説してくださっています。

公示地価・基準地価・路線価の違いを解説 購入時や相続時に参考にするのは?

公示地価は適正な地価の形成に役立てるために国が公表しているもので、一般的な土地売買の際の指標や、公共事業の取得価格の基準となっています。基準地価の目的は公示地価とほぼ同じで、調査の主体が都道府県となります。路線価は国税庁が相続税や贈与税の算出のために決めている土地の価格です。

訪日客需要が消失する影響を大きく受けた地域

三大都市圏の地価、際立つ苦境 訪日客減で44%が下落

今年の基準地価では、訪日客需要で潤っていた地域の失速が鮮明になった。

京都市の商業地では全11区のうち9区で上昇幅が縮小。観光名所が多く集まる東山区は昨年、22.3%の上昇だったが、今年は0.9%の上昇どまり。下京区は16.6%から1.8%に、中京区は15.5%から2.1%にプラス幅が縮小した。

(中略)

外国人客が訪れる定番スポットの東京・浅草。つくばエクスプレス浅草駅周辺の商業地では昨年31.1%だった上昇率が2.6%にとどまった。

浅草・京都・大阪等の特定地域におけるここ数年の地価急上昇は、訪日客向け商業・宿泊需要が支えていましたので、それがほぼ消失した影響を大きく受けてしまいました。浅草や京都の商業地では、上昇幅が縮小しているのであって、下落に転じているわけではありませんので、昨今の急上昇がやや常識外であったという見方もできます。

公表されたデータを個別に注視すると、例えば弊社本社がある千葉県松戸市の松戸駅近くにある「本町2−4」では、昨年の「840千円/㎡」から今年は「869千円/㎡」に上昇しています。長年営業していた老舗の大手百貨店の撤退後に、建物を再利用し、松戸駅前の新たなランドマーク施設として、営業面で若者層も取り込み可能なショッピングモールが新規オープンしたことが影響しているでしょう。

先日放映されたNHKの番組でも、従来の東京都心人気から郊外へ志向の変化が進行するのではないかとメディア等で指摘されている中、現実は都心の不動産の購入や投資が活発化しており、このブログでも度々記載しておりますが、東京の不動産価値が底堅いとして海外巨大投資ファンドが金融緩和で溢れた投資マネーを東京の大型ビル等に注ぎ込む構図が放映されています。

コロナ禍なのになぜ購入? 追跡!都心の不動産売買

新型コロナウイルスの感染拡大で、都心離れ・郊外志向が加速するかと思いきや、いま、都心の不動産の購入や投資が活発化するという意外な動きが広がっている。家賃やローンが払えず自宅を手放す人がいる一方、「在宅勤務を経験し、通勤時間の無駄に気づいた」という高所得者層を中心に、都心の好立地のタワマンなどの人気が再燃しているのだ。さらに、都心の商業施設やオフィスではテナントの撤退が相次ぎ、空室率が上昇。それでも、コロナ禍で価格が乱高下している世界の他都市に比べ、東京の不動産価値は底堅いとして、海外の巨大ファンドが金融緩和であふれた投資マネーを注ぎ込むという“いびつな”実態も明らかになってきた。一体何が起きているのか、最前線の現場に迫る。

(中略)

この新型コロナの影響で、金融システムを破綻させないために日米の同時的な金融緩和は一転おさまったんですね。終わってみれば、手元に現金マネーが大量に残ったと。これはどこかに投資しないといけないんですけれども、世界を見渡すと、新型コロナの影響が比較的軽微だった、相対的によかった日本に注目が集まる。その中でも空室率の低い日本の不動産ということなんですが、このマネーというのは小規模に投資はできないので、数百億円単位というロットになりますから、そうすると、やはり東京、大阪、福岡とか大都市が中心になるんですね。

有識者も以下の記事の通り、基準地価について全用途全国平均が3年ぶりに下落に転じたことも踏まえて、同様のコメントをしておられます。

不動産価格、下がるどころか「次のピーク」が来る時期が判明した!

バブル崩壊やリーマンショックでは、不動産業者や不動産保有者の資金調達面での制約で不動産の投げ売りが生じやすい環境にあった。

一方、今日の環境では、不動産業者の資金調達面の安定度が高いだけに暴落を生じさせる売却圧力が生じにくい。むしろ、投げを待っているくらいの状況だ。加えて、超金融緩和が続くなかで、不動産市場への根強い資産運用ニーズが市場の下支えになる。

このように、コロナ禍であっても不動産市場全体が下落に転じていると一概に言えるわけではありません。

ただし、コロナの影響は、今後様々な地域において顕在化する可能性があり、その影響をそう簡単に払拭できるわけではないでしょう。

コロナ禍で不動産業界は大きな影響を受けてしまいましたが、コロナ問題が発覚する以前の2019年の経済水準にまで回復するのは、概ねいつ頃になるのでしょうか。

潜在成長率が低く、デジタル化の遅れが露呈した日本 経済水準回復で最後尾の可能性有り

大手銀行系エコノミストによると、日本はコロナ対策としては世界の優等生ですが、 2019 年の経済水準まで回復する時期については、潜在成長率の低さと消費増税の反動の影響により世界の先進国の中では最後尾になってしまう可能性があるようです。

コロナ後の世界経済 〜日本は最大の被害者

当社見通しでは、欧米では 2022年の半ば頃には 2019 年の経済水準を回復するが、日本での回復は2024 年以降にずれ込むと予想している。日本では経済の落ち込みが欧米に匹敵するものになった一方で、そもそもの経済の実力である潜在成長率が低位であること、また、2019 年10 月の消費増税の反動影響により発射台が低くなっていることが背景にある。

(中略)

逆に言えば、伸び代は大きく、官民でデジタル化への集中投資と環境整備を加速することが期待されるところだ。デジタル化、いわゆる、デジタルトランスフォーメーション(DX)は単にデジタル化投資を行うことではなく、文字通り、変革(トランスフォーメーション)、すなわち、制度や慣習の見直しによるビジネス或いは行政のプロセスのリエンジニアリングに真髄がある。それは従前の組織や人事のあり方など、日本式の経営や行政の進め方を変えることにもなり得るものであり、必ずしも簡単に進展するものではないだろう。諸外国が明確にデジタル化に舵を切り国際競争ともなっている中で、コロナ禍を奇貨として変革に取り組むことができるか否か。日本にとってのラストチャンスであり、正に分水嶺に立たされているものと思われる。

私は先月、某セミナーにてこの方の講演をパワーポイント約70頁の資料を頂きつつ拝聴して参りました。このセミナーの主催者は、低金利環境が拡がる中において相対的に高い分配金を安定して実現しているJリート等日本の不動産証券化の礎を築いてくださり、新生活様式をデジタルでつくり上げる取組みにより理想的な未来都市を地域・事業者・国が一体で構築する官民一体の大改革「スーパーシティ」を先導する片山さつき議員でした。

余談ですが、このセミナーでは、頭脳明晰で判断力や決断力に優れた国のリーダーとしてご活躍中のメルケル首相と比較しても遜色ない片山議員を、将来的に日本初の女性首相に推す声もありました。私も片山議員のお話を数度目の前で拝聴させて頂いておりますが、頭脳明晰は勿論のこと、一般市民からの質問のレベルを瞬時に察して温かいお言葉を選択する謙虚な姿勢を自然におとりになることもでき、官民一体大改革実現に必須の為政者・大企業経営者・地方自治体トップとの高い交渉力もお持ちのようでした。引き続き今後の日本を牽引するであろう自民党内の、しかもキングメーカーとも言われる二階派に、このような素晴らしい片山議員がいらっしゃることについては、正直安堵しています。

 

地価上昇や価値向上など不動産投資業界に大きな影響与える「スーパーシティ」

スーパーシティ構想は、まさに上記コラムで指摘されている日本の成長ドライバーである

「官民でデジタル化への集中投資と環境整備を加速すること」

を実現するチャレンジであり、地価に対してはもちろんですが、様々な影響を不動産投資業界に与えますので、不動産投資関係者はじめ多くの自治体関係者等が、近未来の日本の不動産・建築・街づくりの基盤となる「都市OS」の動向を左右する全国で5カ所程度とされる選定都市の動向等に注目しています。

超便利な生活可能 「スーパーシティ構想」の認定狙う大阪

スーパーシティは、デジタル技術を活用した都市の概念「スマートシティ」からさらに踏み込んでおり、「スーパー・スマートシティ」などとも呼ばれる。

首相の指示で複数分野の法的規制が一括緩和され、従来は規制で困難だった自動運転や遠隔診療、小型無人機(ドローン)の活用などが自在にできるようになる。さらに個人や企業、地域に関するさまざまなデータを収集、整理する「データ連携基盤」と呼ばれる技術を活用し、最新技術とそれらのデータを連携させた効率的なサービスを提供できるようになる。

(中略)

行政の動きを関西財界も支援する。特に活発な活動を展開するのが大阪商工会議所だ。

大商は昨年7月、大阪でのスーパーシティ実現に向けた提言を発表。大阪での少子高齢化の進行や健康寿命の短さなどに着目し、大阪エリアが得意とする健康医療分野の研究とデジタル技術を生かした取り組み、交通・金融分野での次世代サービス実現の必要性などを訴えた。今年7月には、スーパーシティのデータ連携基盤への活用も視野に、都市インフラをデジタル技術で認識する研究開発を開始する構想を打ち出した。

以前記載した以下の記事において、「スーパーシティ」が不動産投資業界に与える様々な要素について記載しておりますので、併せてご一読ください。

トヨタなどの民間企業も続々「未来都市スーパーシティ」参入

スーパーシティは、無数の新技術が現在よりも更に機能的で効率的な都市・建物の可能性を創出することに繋がります。不動産業界は、スーパーシティの実現化のためのハード面を作り上げるだけではなく、これらの新技術の主な受益者の一人となる可能性を秘めています。

例えば、入居者にとってより望ましい都市・建物が創出されることで建物の運営コスト低下と価値向上が実現されるため、その不動産の買主にとってより魅力的なものとなり、非スーパーシティ地域と比べてやや高めの賃料収入を安定的に頂ける可能性があることから、非スーパーシティ地域における不動産投資よりもプレミア価格の売買取引が成立することにつながるでしょう。

加えて、テナント募集等不動産賃貸事業・投資事業や、建物新築・改築等の計画の議論や意思決定を支援するような公共・民間データを低コストかつ大量に利用できることから、不動産投資事業を最も効率的に経営することができるようになるでしょう。

更に、コロナ禍で普及しつつあるテレワーク対応オフィスやシェアオフィス等、既に実現されつつある不動産利用方法に加えて、実用可能な最新VR技術等を標準で提供できるオフィスビルに入居した企業の売上高や利益がアップする等、さらに入居者様と所有者のリレーションシップがより強固になるサービスが実現可能になるでしょう。

スーパーシティ内の既存建物に投資後、リノベーションして価値向上を図る場合についても、見た目の美しさやおしゃれ感を実現する従来重視されてきたハード面だけではなく、実用可能な新技術を用いて入居者支援を可能にするソフト面でも重要視されていくでしょう。それに関する工事内容・費用についても、各種データがより透明性を高めることから、工事を発注する不動産投資家にとってより満足度が高いものになるでしょう。

 

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