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弊社インタビュー記事「ビルオーナー企業が読む不動産売買市場」(週刊ビル経営)

2021.2.26|現場の話

『週刊ビル経営2月22日号』において、大手企業による自社ビル売却が話題となる中、現在と今後の自社ビル等不動産売買市場について取材して頂きました。

 

掲載記事から一部引用させて頂きます。

大手企業による自社ビル売却が話題となっているなかで、中小の自社ビルの売却案件も出てきている。理由は多岐に及ぶ。コロナ禍を引き金に業績が落ち込んだ。あるいは相続に絡んだ差押え。そしてこの2つがダブルパンチになった案件。一方で資産の入れ換えや事業投資を行うためのキャッシュの確保といったような「攻め」の売却も出ている。

(中略)

売却案件は様々な背景、複合的な理由で増えていますが、価格は高値安定的です。その背景には低金利による金余りの状況があります。ビルを購入するために融資を受ける場合にも、担保にいれられる保有資産があればフルローンを引くこともできます。売却する側にとっても多額のキャッシュを確保することが可能です。直近では大手企業でも自社ビルを売却してリースバックを受けるというケースがありますが、中堅・中小企業でもこのようなケースが増えてくるのではないでしょうか。

自社ビル売却は、経営状況の悪化などあまりよくないイメージがありますが、これだけ高額でビル売買がなされている市況においては、売却しリースバック(一定の間、新所有者様に家賃を支払いつつ、外観上はそのまま営業する)することは決して悪いことではありません。業績の悪化が報道されたエイベックスは自社ビル売却による特別利益として290億円を計上し、電通は本社ビル売却により1200億円くらいの転売益が出ることが予測されています。一般的に、本業でこれだけの多額の利益を計上することは容易なことではありません。

それだけではなく、その後に新しいビル等の購入により資産替えをして移転する場合もあるので、それは「攻め」のビル経営手法と言えます。

上記インタビュー内容の背景については、以前以下の記事等で記載しました。

東京都心5区オフィス空室率上昇も不動産価格は高止まり 驚くような売買価格も

空前の低金利と世界的金余りによって、表面利回りが3%未満であっても立地条件や建物グレードが良好であれば買主候補が存在します。これは株高で沸いたかつての平成初期の不動産バブルと類似しています。違いと言えば、日本のビルに対して購入意欲旺盛な多くの投資家が、アジア系、特に上海等で実質利回りが1%を下回りながらも投資中の中国系投資家ということです。土地所有権付きで立地と建物グレードが良ければ、日本人投資家の目線とは異なる基準で、場合によっては現金で購入します。

このような海外不動産投資家等の旺盛な投資意欲は、赤字で経営難のビル所有者だけではなく、絶好の資産替えの機会ととらえて前向きに売却を検討するビル所有者の保有ビルを手放そうという動きを後押しするでしょう。

弊社本社所在地の千葉県内はもちろん、全国各地にはコロナ禍であっても収益が安定している企業が多々存在します。そのような企業は、首都圏の事業拠点としての本社ビルを、高額な東京都心5区というより、山手線周縁という広い範囲で探しているものです。実際、弊社もそうでした。

ビックサイトで開催されたセミナーで某Jリート運用会社のリーダー的な方もおっしゃっていますが、空前の低金利により巷に溢れている巨額の投資マネーを背景に、Jリート等不動産投資ファンドが運用中の、築古の放出物件と出会う機会もあり得ます。こうした物件は、平成初期のバブル期に高額な建築費をかけて立地の良い場所に建てられているものですから、10億円以上の投資が可能な中小企業や投資家にとっては魅力的な物件です。このような不動産投資ファンドの処分案件は、通常は表面的に売物件ではありませんが、条件が合致すれば売却の相談に乗ってくださるもので、私たちも何度かこうした物件の取引に成功しております。不動産投資ファンド側としては、長い間運用資産として組み入れていた物件であればあるほど一般的に購入価格が現在の市況に比べて安くなるので、転売利益も多額になる傾向にあります。結果的に、不動産投資ファンド運用会社の成績や信頼が向上します。おそらく成功報酬も高額になるでしょう。

では不動産投資ファンドは築古物件の売却後、どのようなことになるでしょうか。

場合によっては不動産投資ファンド自体をクローズすることもあります。しかし、現在の低金利の市況では低配当率であっても配当が安定型の不動産投資ファンドは地方銀行等の投資家には重宝される存在ですので、継続してファンドを運用することを選択することが大半だと思います。その場合は、築古物件の売却資金と、多額の転売利益を得た運用実績を評価する投資家から更に集まった多額の投資マネーを元に、築年数が浅く当面は大規模修繕費が不要な高額な物件を、できるだけ購入時のローン比率を下げつつ新規に運用資産として組み入れることを選択するでしょう。

以上の商流により、築古とはいえ通常は出会うことが困難な魅力的な不動産投資ファンド運用物件を購入できた方と、低配当率であっても安定した配当を好む地方銀行等の投資家、そして更に安定した配当が可能になった不動産投資ファンドが、文字通り三者のWIN-WINの関係になります。

 

余談ですが、『週刊ビル経営』発刊元のビル経営研究所様には、ビルの売買動向といってもその背景が多岐にわたること等について、概論だけではなく、出来るだけ具体的な事例をもとにご説明させて頂きました。そのため内容は複雑でしたが、長時間にわたりご丁寧に取材して頂き、感謝申し上げます。

 

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