円安で日本の不動産に割安感 アジアマネーが次々投資
2014.11.28|不動産投資ニュース
台湾や香港やシンガポールが拠点の機関投資家が、高額な不動産を低い利回りで次々購入しています。それにともない、アジア投資家を取り込もうと、大企業、中小不動産業者も躍起になっています。もはや、不動産バブルというよりはアジア投資家取り込みバブルといってもよいくらいです。
東京都心で不動産バブルが芽生えている? 「買い」の主役は欧米系からアジア系へ 日本の投資家よりも3割も高い金額で物件を買っていく「ある者」とは!?
昨今、東京都心の大型オフィスビルが、相次いで高値で取引されている。
日本国内のリートやファンドが想定する適正価格を、はるかに上回る価格で何者かが買いあさっているようだ。
アジア投資家にとっては、円安背景に日本の不動産に割安感があるようです。
アジアを中心とする外資系投資会社が東京中心部の優良オフィスビルを次々買収している。円安で海外から日本の不動産が割安に見られる中、投資資金が、下落基調にある中国の不動産から日本に移るなどしている。競り負けた国内勢からは「アジアの投資資金が東京のオフィスビル市場にもバブルを波及させかねない」と警戒する声が上がっている。
比較的低い利回りで高額な不動産投資をする傾向のある国内系不動産ファンドなども提示額で競り負けているようです。
都心オフィスビル、アジア系投資会社が相次ぎ買収 日本に「不動産バブル」起こすつもりなのか
東京駅と直結する超優良物件として関係者の注目を集めた同ビルを取得したのはシンガポール政府投資公社(GIC)。関係者によると取得額は1700億円強(オフィス部分6383平方メートル)とみられ、みずほ銀行が今年3月に本店ビルとして取得した大手町タワー(1782億円で取得)と並ぶ今年最大規模の売買となった。関係者は「ビルの評価額から判断すると、投資額から得られる想定利回りはせいぜい年2~3%だろう。日本のリートでは5%以上が通常で、我々では到底はじき出せない金額だ」(大和証券系リート幹部)と話す。
同ビルの取得には多数の日系投資会社なども動いたが、ある幹部は「当社が仲介会社に提示したのは約1300億円。GICの取得額の根拠はまったく理解できない」と驚く。
かつての日本の失敗と同じ様相
バブル時の米国でのジャパン・バッシングと似た報道ですね。
潤沢な資金を得た企業が、日本国外の不動産や企業を買収した。著名なところでは三菱地所によるロックフェラー・センター買収(2200億円)、ソニーによるコロムビア映画買収をはじめとする事例で、日本国外の不動産、リゾート、企業への投資・買収が行われた。また、企業に留まらず、土地を担保に大金を借り入れた中小企業オーナーや個人、マイホーム資金を貯蓄していた個人の中からも、日本国外の不動産に投資を行う者が出てきた。
一方で象徴的ビルや企業が日本企業の手に渡ったことにつき、アメリカの心を金で買い取ったとする非難(所謂ジャパン・バッシング)が浴びせられた。また、日本国外の不動産への投資は現地の地価の高騰を招くとともに資産税を上昇させ、正常な取引を害し地元経済を混乱させたものとの非難が浴びせられた。
ロックフェラー・センター 三菱地所による買収劇
1989年10月、三菱地所がロックフェラーセンターを約2,200億円で買収した。これはバブル景気期の成金的な「ジャパンマネー」による海外資産買いあさりの 象徴的な例であり、アメリカ国民とニューヨーク市民の大きな反感を買い、アメリカでジャパン・バッシングが広まるきっかけとなった。
しかし、後に不動産不況(バブル崩壊)で莫大な赤字を出すことになり、1995年5月に連邦破産法11章を申請し、運営会社は破産。
バブル崩壊 日本国外からの撤退
かつて日本国外の不動産や資産、企業を購入して進出していた企業が、本業の業績悪化に伴い、撤退を余儀なくされた。前述の三菱地所は、ロックフェラー・センターの主要部分を、買収時価額を大幅に下回る価額で手放さざるを得ず、大きな損失を出して撤退した。
一般的な個人の方にとっては、こういった高額不動産がアジア投資家に低利回りで購入されているからといって、直接的に何かあるわけではありません。影響があるのは主に投資用の不動産です。近隣相場とかけ離れた低利回りで購入され続けると、じわりじわりと周辺地域の不動産価格の高騰を招きます。そうすると、不動産をこの機会に高額で売却したいと願う方にとってはこの市況はチャンスであり、この機会に不動産投資したい方にとっては極めて難しいということになります。
アジアマネーが躍進したのは、最近のことではありません
2011年02月14日付の記事です。
アジアの投資家による、日本の不動産への投資事例が目立っている。2008年の金融危機までの欧米の投資家による数百億円単位の投資は影を潜め、代わりに台頭し始めたのがシンガポール、韓国などのアジアの投資家。アジアの投資家による日本への不動産投資は、今後も増えると予想される。
金融危機以降、欧米の投資家による不動産取得が停滞し、アジアの投資家による投資が活発化している。主要なプレイヤーは、シンガポール、韓国、香港、マレーシアなどの国の年金基金や政府系ファンドといった機関投資家や政府系・財閥系企業。
昨年(2013年)8月の記事です。
「今が底値」とアジア投資家が東京物件物色-円安割安、上昇期待(1)
台湾最大の上場不動産会社、信義房屋不動産の何偉宏社長によると、今年1-6月に日本で販売仲介した物件は113億円と、昨年1年間の86億円を既に上回っている。顧客間の物件争奪戦は過熱化し、抽選で買い手を決めるようなケースもある。何氏は、「販売実績が急増したのはアベノミクスと大いに関係がありそうだ」と話す。
最近では、数十室あるファミリータイプの新築マンションを個別に販売する準備をしていたところ、アジア投資家がまとめて全室購入した事例まで聞こえています。賃貸住宅として利回り計算すると、表面利回りはものすごい低さ(2%程度)とのことでした。
こういった高額な不動産を低利回りで購入するアジア系投資家向けに、アジア系大手企業が日本の不動産投資を支援しています。
信義房屋不動産株式会社
信義房屋不動産株式会社は、「人こそがすべての基礎である」という真心のサービス精神により、中華圏のお客様が日本で不動産購入をする際の基盤になるよう積極的に活動しています。現在、日本国内企業と提携しており、日本での不動産仲介事業を今後ますます飛躍的に成長させていきます。
アジアマネーの取り込みに躍起になる日本企業
こういったアジア投資家の多額な投資マネーを奪い合うような市況になりました。
「アジア投資家の取込みバブル」とでも呼びましょうか。
現在、非常に注目度の高い“台湾人投資家向け不動産売買”を台湾現地での日本投資セミナー開催プロデュースで徹底サポートいたします。フジテレビ『情報プレゼンターとくダネ!』“日本の不動産が台湾で大人気!”の特集にて取材されました。
東急リバブル株式会社の例です。
~東南アジア諸国に拠点を置く海外投資家への対応力の更なる強化へ~
東急リバブル株式会社(代表取締役社長:中島美博、本社:東京都渋谷区)は、海外事業戦略強化の一環として、シンガポールの大手不動産会社オレンジティー・ホールディングス社(OrangeTee Holdings Pte Ltd、以下、OTH社)に資本出資することに合意いたしましたので、お知らせいたします。
山田不動産コンサルティング株式会社の例です。
シンガポールにて不動産投資セミナーを開催しました
2014年3月12日、13日の2日間、シンガポールにて「東京の不動産投資セミナー」を開催しました。
今回のセミナーは、シンガポールの投資家に‘東京の不動産の魅力’を知って頂き、東京の不動産へ投資をして頂こう、というものです。2日間で我々の想定を超える140名ものお客様にご参加頂き、如何に東京の不動産投資への関心度が高いかということを実感いたしました。
セミナーでは、東京の不動産の魅力をご紹介する事はもとより、山田グループならではの税務も含めた「ワンストップサービス」が可能なことと、海外プロジェクトを一緒に取り組んでいるグループ会社がシンガポールに支店があり、フェイストゥーフェイスでの対応が可能であること、この、山田グループの最大の強みをお伝えしてまいりました。
日本全国のさまざまな企業が、類似のサービスを提供していると思います。アジア投資家からみて魅力的なサービスを提供する上で、どのように差別化を計るかがポイントになってきますね。
日本の不動産は決して安くありません
アジア投資家からみた場合、香港等他のアジア諸国の一部不動産と比較して日本の不動産が安いと感じることはあると思います。さらに、円安が背景で日本の不動産に割安感が増し積極的に投資しているのでしょう。
例えば、人民元と円の為替レートの推移を確認してみれば一目瞭然です。
中国人投資家の場合、1元で12円分の日本の物を購入できたのが、為替レートの変動により18円分の物を購入できるようになれば、同じお金で1.5倍の購入が出来るというだけの話です。
たびたび書いているように、現在の日本の不動産は安くありません。
日銀による金融緩和政策の終わりなどの要因で円安状況が崩れると、いくら他のアジア諸国の一部不動産よりも安いと感じていたとしても、この状況は一変する可能性が非常に高いです。戦争や未曾有の大地震、世界的な金融危機により、一気にバブル的な不動産市況が反転することも想定しておかなければなりません。
そうなった時に、アジア投資家との関係までもが崩れ落ちてはいけませんね。