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東北復興2015年 大規模な仙台駅東口再開発が進行中も、東日本大震災からの復興は道半ば

2015.1.6|不動産投資ニュース

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2015年は仙台駅東口再開発が大々的に進む仙台の情報からスタートします。特に沿岸部が未曽有の大震災に見舞われた宮城県の中で、大震災前から計画されていた仙台駅東口の大規模再開発プロジェクトが進行中です。第3回国連防災世界会議が今年3月14日~18日仙台で開催されることもあり、大震災からの復興の現状と併せて確認してみましょう。

 

昨年、国交省が公表した、

商業地の上昇率順位表(圏域別)

の「地方圏・商業地」にて、新幹線が今年開通予定のJR金沢駅西口に次いで、上昇率で上位にランクインしたJR仙台駅東口はどう生まれ変わるのか確認してみましょう。

仙台駅周辺の大改造(仙台駅前広場再整備・自由通路再整備・帰宅困難者対策)仙台市都市整備局総合交通政策部交通政策課(PDF)

仙台駅東口側は、鉄建・大林共同企業体と、ヨドバシカメラにより大規模な再開発が進行中です(昨年12月30日撮影)。

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仙台駅東口駅前で営業していたヨドバシカメラは、既存のビルを解体し、第2ビルに暫定的に移転しています。再開発中の第1ビルは大規模な複合ビルになる予定です。

第1ビルの再開発状況です。

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↓第2ビルも駅前ですので、第1ビルが再オープン後にどのような店舗になるのか楽しみです。

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ヨドバシ新ビル16年春開業 店舗、オフィス2棟建て JR仙台駅東口

第1ビルは延べ床面積約10万平方メートルの複合ビル。地上8階のA棟には1~5階に自社店舗や飲食店などが入り、6~8階は駐車場となる。地上14階のB棟はオフィス用テナントなどで構成する。
敷地面積は約1万5500平方メートルで、南側にある既存の立体駐車場はそのまま活用する。
仙台駅東口と第1ビル、市道を挟んで東側に建設した第2ビルをペデストリアンデッキでつなぎ、利便性を高める。第1、第2ビルを地下通路で結ぶ計画もある。
「マルチメディア仙台」は、12年4月から第2ビルで暫定営業中で、第1ビル完成後に同ビルに移る。

ヨドバシカメラは、一箇所に千億円規模の不動産投資をする、最強の駅前大型不動産大家のお一人です。

駅前大型不動産大家の先駆けとして、かなり前から仙台駅前に進出し、その成功により今日の駅前大型店舗形態に転換したことは、地元の方や関係者以外あまり知られていないかもしれません。

転換期 1990年代後半~<地方進出・大型店舗出店>

「ローマは一日にして成らず」ですね。

駅前大規模再開発が行われると、それまであまり人気のないエリアであってもその周辺の不動産(特に商業ビル)価格が上昇する可能性が高くなります。このあたりが、不動産投資の興味深いところでもあります。

 

東日本大震災からの復興状況はどうなっている?

仙台市の復興状況に関する資料が公開されています。

仙台復興リポート~仙台市の復興状況の最新情報を毎月お知らせしていきます~(PDF)

上記資料によると、仙台市だけで7,313世帯が応急仮設住宅に入居しているようです(5頁より)。東北全体ですと、相当数の方が未だに応急仮設住宅に住んでいると思います。

 

未曽有の大震災により既存の町並みが崩壊した例として、宮城県の仙台市の南東に位置する名取市の例を確認してみましょう。大津波による被害は、本当に凄まじいものがありました。

震災前後の写真

その他の地域も相当の被害を受けてしまいました。

そして、東北地方の復興状況の現実は、不景気との戦いもあって厳しいものがあります。

景気本格回復なるか 2015東北経済展望
景気の本格回復を目指す東北経済の新たな1年が幕を開けた。昨年4月の消費税増税による消費低迷、アベノミクスがもたらす円安による原材料高、人手不足に伴う人件費の高騰。東北地方の企業を取り巻く環境は厳しい。東日本大震災からの復興を加速させるためにも、内需拡大を通じて好況感を取り戻すとともに、新たな産業を育成することが不可欠となる。

残念ながら、思うような復興工事ができずにいます。

権利複雑工事進まず/仙台内陸宅地復旧の壁(上)/かすむ復興
東日本大震災で地滑りが多発した仙台市内陸部で、宅地の復旧が遅れている。津波に襲われた沿岸被災地に比べれば工事規模は小さい。ただ、停滞の影響は沿岸部と同様、被災者に重くのし掛かる。
<遠い完工目標>
市が公費で工事する169地区(宅地2521カ所)のうち、ことし10月末までの完工は58地区にとどまる。9月までに100地区とした目標に遠く及ばない。

境界ずれ 負担と不安/仙台内陸 宅地復旧の壁(中)/かすむ復興
<隣にはみ出る>
解体した自宅は十分に使えるはずだった。目算を狂わせたのは、東日本大震災で生じた土地の境界問題だった。

原状回復、用途に縛り/仙台内陸 宅地復旧の壁(下)/かすむ復興
<隣地利用断念>
公費を投じて復旧した土地に住宅が建てられない。東日本大震災の内陸被災地で、そんな奇妙な現象が起きている。

岩手県内では、お寺と檀家の間で争いが起きてしまっています。

津波被災の墓かさ上げ巡り、寺が檀家を提訴へ 大槌
震災による津波で浸水した墓地をかさ上げするため、岩手県大槌町の江岸寺(こうがんじ)は、墓の移転に同意しない一部の檀家(だんか)に対し、墓地の明け渡しなどを求めて訴訟を起こす。5日にも、盛岡地裁遠野支部に提訴する予定。
江岸寺は、町内で最多の約1600軒の檀家を持つ。震災による津波と火災で、平地部分にあった約180軒の墓の大半が流されたり焼かれたり、壊れたりした。町が周辺の市街地を2メートルかさ上げするため、寺も町の協力で墓地に同じ高さの盛り土をする方針。

そういった中、大きな被害を受けた路線が今年再開するという嬉しいニュースが報道されました。

石巻線、仙石線 15年に全線で運転再開
東日本大震災で大きな被害を受けたJR石巻線、仙石線が2015年、全線で運転を再開する。石巻線は休止している浦宿-女川間が3月21日に再開。小牛田-女川間(44.7キロ)がつながり、被災したJR在来線で最初の全線再開となる。仙石線はあおば通-石巻間(49.0キロ)が6月までに再開する予定で、東北線への乗り入れも始まる。震災から5年目に入ることし、沿岸部の鉄路再生が目に見える形になり、少しずつ前進する。

まさに「ガンバレ東北」です。東日本大震災がどんどん風化していく昨今、後世に伝える努力も行われています。

宮城)AKIRAの大友克洋さん 震災と復興への思い

宮城)AKIRAの大友克洋さん 震災と復興への思い
「AKIRA」などで知られる漫画家・映画監督の大友克洋さん(60)=登米市出身=の原画を基にした陶板レリーフが3月、仙台空港に飾られる。時には脅威ともなる大自然と人間とのかかわり方を表した作品。

(中略)(東日本大震災は)どんどん風化していくし、子どもたちも大きくなる。そんな子どもたちが思い出してくれればいいと思います。震災を知らない子なら、両親に「これ何?」と聞いて、地震や復興の話題になればいいですね。

 

千葉)求む、東日本大震災の資料 風化防止へ県立図書館
東日本大震災の被災状況や避難生活の様子などを保存するため、県立図書館が資料の寄贈を呼びかけている。震災の記録を広く公開することで記憶の風化を防ぎ、今後の防災対策に生かしていくという。
県教委などによると、震災関連の資料収集は国立国会図書館の呼びかけで2013年に岩手、宮城、福島の3県の図書館で始まり、14年から千葉と茨城両県の図書館も加わった。

第3回国連防災世界会議が、2015年3月14日(土)~18日(水)仙台で開催されます。

第3回国連防災世界会議概要

会議開催を通じて、仙台・東北の東日本大震災における経験と教訓や防災、復興に関する取組みを国内外に発信し共有することにより、世界の防災の取組みの推進に貢献していきます。
また、仙台・東北の人々が、それぞれの防災や復興への取組みなどについて情報共有し、互いに連携することにより防災意識をより向上させ、次世代に伝えていく契機とします。

私たちも、何らかの復興をご支援できるよう努力していきたい思います。東北の不動産投資の仲介等を通じて、多額の税金を地元にお支払いする等、直接的ではないにしても出来ることはあると思っています。

東北地方に足を運ぶ機会がありましたならば、皆さん、お金を使いましょう。

 

阪神・淡路大震災から復興の課題を学ぶ

同様にどんどん風化しつつある阪神・淡路大震災の復興から学んでみたいと思います。

震災20年 復興の課題と成果は 有識者に聞く
-震災復興20年の評価は。
市民がまちづくりの主役として育った。外形的な復興も、全体としては世界的に評価されている。
ただ、高く掲げられた創造的復興は難しい問題を含んでおり、残された宿題があるのも事実だ。

-ポスト20年の課題は。
大地動乱の時代が迫っている。南海トラフ巨大地震の被害想定など最悪を警告するところまでは来た。だが、国も国民も本当の自覚はできていない。
昔の人は、先人の教えを大切にしたまちを築いた。国難にどう備えるか。国民が覚悟すれば、国も変わるはずだ。

国も国民も本当の自覚はできていない。

私たちに対する最大の警告ですよね。私たちは新年にあたり、日々普通に生活出来るだけ幸いであることを今一度認識したいと思います。

阪神・淡路大震災の約10年後に公開されている専門家のご意見を拝読しましょう。

阪神・淡路大震災から10年 地震災害の3つの特質と問題点

しかし,いろんな方々と話をすると,あれだけの大惨事であったにもかかわらず,たった10年で多くの人達から当時の悲惨な記憶が薄れつつあることに正直驚いています.

毎日のように報道される原発問題一つとっても、本当の危機感があるのかと感じてしまう状況です。

私たちは、大地震や原発の影響により現在の生活が一瞬にして崩壊する可能性があることを忘れてはいけません。投資中の不動産に何かが起きることもありえます。

さまざまな試練へのリスク回避策の検討を通じて、私たちも大切なお客様と共により一層成長していきたいと願います。

また、今年初めてお会いする可能性のあるお客様へ精一杯ご支援したいと思います。

本年もESTATE BOOKSをよろしくお願い致します。