取材されました:マイナス金利。投資家への影響のリアル『週刊ビル経営』
2016.4.8|現場の話
平成28年4月4日発行の『週刊ビル経営』に、マイナス金利と不動産投資の関係に関しての弊社のインタビュー記事が掲載されました。
様々な切り口から私見を述べさせていただいた内容を、凝縮してまとめることは、決して簡単なことではないと思いますが、限られた文字数で、簡潔にまとめていただきました。(詳しくは 『週刊ビル経営』をご覧下さい)
今回のインタビュー記事の背景は、以前下の記事で記載しました。
私見ですが億単位の一棟ビル・マンションの一部は値下がりしています。決して日本経済が良いとは言えない状況下、マイナス金利相場であっても、金融機関側からみて億単位の資金を貸せない人には貸せないということも起因しているのでしょう。一棟ビル・マンションが、売主の希望する価格で頻繁に売買成立しているわけではないのが現実です。
また、需要が高いために価格が高騰する数千万円から1億円程度のアパート経営に安易に参入すると、高値での不動産投資となり、人生を不幸にしてしまう危険が非常に高いのでご注意ください。
不動産投資家においては、さらなる値下がりを待ちつつ、じっくりと物件を検討することも必要だと思います。
人口が減少傾向にあり、日本経済が決して良いとはいえない中、不動産の売買であれ賃貸であれ、市況が今後良くなることは容易ではないと思います。そういった環境において、マイナス金利政策に振り回されて、子供や孫の世代にわたっての大きなリスク(高額な借金と不動産の維持管理費)を見落とさないように祈ります。 ですが、現実的にはお父さんが頑固で、リスクを提言する子供の建設的な言葉に耳を貸さない場合もかなりありそうです・・・(苦笑)。
私見ですが、このマイナス金利政策により上記記事内で記載されている
「不動産業界にコストの安い資金がなだれ込む」
というような極端な影響が不動産業界にあるとは思いません。
かつての不動産バブルで破綻の経験がある金融業界が、本来貸し出すことのできない方にまで無理に貸し出すような無謀なことはしないでしょう。
ただし、地道に信用力とキャッシュを蓄えることに努めてきた不動産投資家にとっては、マイナス金利政策により、長期の融資期間や低金利等、今までにない好条件で不動産投資を実現出来るチャンスがあります。ご聡明な不動産投資家の皆様にとっては、今年は良い意味で激動の年になりそうですね。
事実、不動産投資に関するウェブサイトで有名な健美家が公表したデータによると、一棟アパート価格は上昇、一棟マンション価格は大きく下落したとのことです。
2016年3月に健美家に新規登録された全国の投資用不動産3種別(区分マンション、一棟アパート、一棟マンション)の物件数、物件価格、表面利回りの集計が公表された。
(中略)
一棟アパートの価格は、前月比+2.66%(+156万円)の6,024万円と、過去1年で2番目の高値。表面利回りは、前月比-0.11ポイントの9.19%と、過去1年で最低値となった。
一棟マンションの価格は、前月比-5.56%(-857万円)の14,556万円と、大きく下落。表面利回りは前月比+0.09ポイントの8.27%となり、上昇に転じた。
マイナス金利市況においては、主にサラリーマン投資家やretired person(退職者)が不動産投資対象としがちな一億円以下の一棟アパート価格は上昇しやすいです。他の資産運用手段と比較して不動産投資に(場合によっては安易に)新規参入する人が多いため、投資需要がどうしても多くなり、価格が上昇しやすいためです。
一方、数億円単位の一棟マンションやビルを購入できる投資家は、よほど魅力的な物件でない限り投資を控えている可能性が高いため、多額の投資マネーを運用しなければならない不動産ファンドが参入しにくい10億円以下の物件は、一部の好立地物件を除き下落傾向になる、あるいは買主有利で売買交渉が進むことが想定されます。なぜならば、もっと良い物件と出会う時期まで、あるいはもっと値下がりした時期になるまで、資金と信用を積み重ねるのが聡明な不動産投資戦略の一つでもあるからです。
マイナス金利を短期的なチャンスと捉えて、魅力的な不動産投資や、既存ローンの好条件での借り換えを実現できた投資家は幸いです。
しかしながら、マイナス金利に踊らされて短絡的な不動産投資戦略を実行せずに、着実な不動産投資事業経営をしたいものですね。