不動産ファンド低迷の先に不動産価格の下落
2016.11.29|不動産投資ニュース
J-REIT(日本版不動産投資信託)が「トランプ相場」の蚊帳の外に置かれていて、東証REIT指数の下落傾向が継続しているという記事が公開されています。
REITは基本的に、保有物件の賃料の上昇や、増資による調達資金を使った物件購入で保有資産を拡大していくことで成長を目指す。賃料上昇が見込めず、投資口価格の低迷で増資もできなければ、成長の道は閉ざされる。
アイビー総研の関大介代表は、「今年上場して低迷している銘柄は、スポンサーの物件売却の出口戦略にREIT市場を利用されただけ」と苦言を呈す。
上記記事の
スポンサーの物件売却の出口戦略にREIT市場を利用されただけ
という箇所の指し示す意味につきましては、以前記載した以下の記事をご参照ください。
自ら保有することを目的として、例えば年間賃料収入が2億1千万円の商業ビルを、表面利回り10%(売買価格:21億円)で購入したとします。後日、自らスポンサーとして組成したリートにこの物件を7%で転売する(リートの運用資産に組み入れる)ことが出来た場合の売買価格は30億円になります。単純計算すると、キャピタルゲインは9億円になります。もちろん各種税金等が別途かかるのですが、それでも相当のキャピタルゲインを手にすることができます。この売買に関して売主、買主からもらえる多額の仲介手数料についても、グループ内で分け合うことができます。
利益相反にはならない?
この究極の錬金術とも呼ばれるビジネスモデルについては懸念されることがあります。投資家にとっては、出資したリートに割高な価格で不動産を組み入れられるので、利益が損なわれる危険性が出てきます。これが「利益相反の問題」の典型的な例です。
米国国債等他の投資先へ投資マネーが流出する可能性あり
J-REIT価格低迷の要因について、専門家の意見を拝読してみましょう。
J-REIT価格低迷要因と今後の見通し/アイビー総研 関 大介
J-REIT価格低迷の要因として考えられる点は、外国人投資家の売越し懸念が強いことが挙げられます。
外国人投資家は、J-REIT価格が大幅に上昇した2月から4月にかけて2,620億円を超える買越しとなりました。
その後は売越しとなる月もありましたが、2016年は10月まで差引1,783億円の買越しとなっています。
昨年は年間では売越しになっていた点から見て、外国人投資家の売越し懸念は強い状態と考えられます。
J-REIT等日本の不動産ファンドに関する様々なリスク要因や、米国国債等他の運用先の動向を鑑みると、海外機関投資家の投資マネーが魅力的な他の運用先へ流出する可能性があります。
その影響につきましては、先日記載した以下の記事
ドイツ銀行は、「2018年までに20%か、それ以上の価格の下落を予測」していますので、ブラックストーンに関する取引の事例に限らず、海外の機関投資家による利益確定売りは次々に起こることが予測されます。
将来的には日本の不動産関連から巨額の投資マネーを引き上げる海外機関投資家の割合は多いように思います。
(中略)
経験上、海外機関投資家の投資マネー引き上げにより、
→時期が遅れて10億規模の投資用不動産価格が下落
→時期が遅れてそれ以下の投資用不動産価格が下落
ということが起きることが予測されます。
現場の肌感覚としては、投資用不動産価格は下落傾向にあります。
を併せてご一読ください。
今後、
日経平均株価とは対照的に年初来高値に遠いのが不動産投資信託(REIT)だ。表面的には停滞しているかに見える市場で、巨大なクジラがついに動きだしたのではないかと話題になっている。
で取り上げられているような「巨大なクジラ」が出現する等、よほどの上昇要因が発生しない限り、J-REIT等日本の不動産ファンドから徐々に機関投資家の巨額な投資マネーが流出する傾向は避けられないと思います。
度々記載しておりますが、投資用不動産価格の値崩れはすでに始まっています。魅力的な不動産投資の機会に出会っている方もいらっしゃるようですよ。
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