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マンション管理人不足で「AI管理員」実験がスタート

2017.6.7|不動産投資ニュース

マンション管理人の人材不足が深刻な問題点となっています。時給3割増でも集まらないようです。今やマンション管理人の役割は、建物の管理のみならず住民の生活の管理にまで及びつつあります。一方、マンション業者は、管理の新規獲得とコスト削減に追われているようです。

 

「マンション管理人」の人手不足がヤバすぎる

知られざる実態、時給3割増でも集まらない

他のサービス業と同様、人手不足に直面しているが、その実情はほとんど知られていないのが、マンション管理業界だ。

たとえば東京の城西地区を軸に展開する大手管理会社は、物件に必要な管理人がつねに15%程度不足しているという。

マンションでは、管理組合が実際の清掃やフロント業務を専門の管理会社に委任する。管理会社は、マンション1棟だけを管理する会社から、42万戸を管理する大京アステージや独立系の日本ハウズイングなどの大手まで、2185社(国土交通省調べ)がひしめく。

そのうちの1社の幹部は言う。「われわれは新規受注獲得、業容拡大が使命。管理人さんがいないのでこれ以上引き受けられない、できませんとは言えない」。

 

マンション管理人は入居者の「生活そのものをサポートし、人の命を守る役割」

この記事の後半部分を見てみることにしましょう。

東急コミュニティーの雑賀克英社長は、「極論ではなく、マンションの管理人は生活そのものをサポートし、『人の命を守る』役割まで担うようになっている」と解説する。

責任は重いのに待遇はそれほどでもない。管理人の職に人が集まらないのは、こうした側面もある。

埼玉県にある約70戸のマンションでは昨年、管理会社から要請のあった管理費の値上げを受け入れた。担い手がいないため、管理時間を短縮するか、値上げを受け入れるかの選択を迫られた結果だった。

2017年には団塊の世代が70代に突入する。ここ数年、マンション管理人は団塊の世代が担ってきたが、これからは60代の人口自体が減っていく。マンション管理人の不足は、生活の場の崩壊にもつながりかねない。

 

マンション管理人の人材不足の原因は明確な状況です

介護業界の人材不足と似ています。

・マンション管理人に望まれる役割が多岐にわたるきつい仕事の割に、低賃金。

・シニア世代の定年が延長される等の理由により、他の職業への選択肢が増加。

実際のところマンション管理業者は、こういった問題を既に把握していると思います。

ではマンション管理業者がこの問題を一気に解決できるかといえば、容易く出来ることではありません。人件費の低いシニア世代の男性や女性を雇用して清掃業務を受託する等、参入障壁が無いに等しい割に、

「マンション管理は儲かるビジネス」

として不動産業界内で認知され、マンション管理業者が乱立し過当競争の渦に巻き込まれていることから、業務を受託するためには高サービス&低コストを要求するオーナー側(マンション管理組合やビル所有者等)に譲歩せざるを得ないためです。

受託するためには、まさに薄利多売にならざるを得ません。

 

マンション管理人もAIに

マンション管理人もAIに 「AI管理員」実験スタート

マンション管理人もAIに――大京グループでマンション管理事業を手掛ける大京アステージは5月31日、マンション住人からの質問に、AIを使った音声対話で答える「AI管理員」「AIコンシェルジュ」の実証実験を7月に始めると発表した。年内のサービス開始を目指す。

あらゆる業種でAIの流れが出ていますが、「AI管理員」「AIコンシェルジュ」はまだまだ機能的に困難だと思いますし、薄利多売の事業の収益性を補う為に必要なのは、大きな利益が確保できる、日々の管理ではなく大規模修繕です。

積立金(大規模修繕費)を定期的に利用して建物内外を維持すること自体は、決して悪いことではありません。

しかし、その工事費用の高額な実態に問題が潜んでいます。事実、言葉を失うほど、あまりに高額な大規模修繕費も散見します。

専門家の意見です。

なぜ?管理会社任せでは駄目なのか

一番身近なパートナーとして最初に思いつくのが管理会社です。実際に大規模修繕工事を管理会社にお任せする管理組合は非常に多いのです。

管理会社に全幅の信頼を置いているのか?と言うとそうではないようです。管理業務を外部に委託しているマンションは、管理会社に対して必ずと言ってよいほど何らかの不満を抱えています。不満を感じつつも、管理会社にお任せしてしまうのは、「わからないから」「面倒だから」「きっと失敗はないだろうから」の3つの理由からです。

大規模修繕工事を行うにあたって、管理会社主導で進めてしまうと、必要以上の修繕工事を行われてしまうことや、工事費用が高くつくなどと貴重な修繕積立金を使いすぎてしまった管理組合が多く存在しています。

これはマンション管理に限らない話ですね。賃貸アパート・賃貸マンション・ビル管理も同様です。

 

マンション管理人の人材不足の原因は、長年の自らの言動にもあり

管理業者が欲しいのは、建物内外のハード&ソフト両面を管理できる有能なマンション管理人さんです。そして、有能なマンション管理人は、団塊の世代が主に担ってきました。

私たちはビルやマンション一棟を購入した後、管理業務を引き継ぐことが時々あります。低賃金の上に、マンション管理会社側からの人格をあまり尊重しないような上から目線な態度に、団塊の世代のマンション管理人さんの気持ちが切れそうな状況に接することは珍しいことではありません。

マンション管理業者が欲する有能な人は、他の選択肢があまりない時代であれば別ですが、意外なほど時給が高い業務が多い現在の雇用市況を鑑みると、他の道を選択する可能性が高いでしょうね。

 

自らが直面する諸々の問題は、全て自らの長年の他に対する言動ツケに負う部分が大半だと思います。

私たちも、この記事を通じて自省したいと思いました。

 

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