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「インドア農業+不動産」農林水産省の植物工場を視察

2017.7.25|コラム

7月5日に、千葉大学内にある農林水産省の植物工場を見学させていただきました。弊社ビルのテナントでもあり、協力会社でもあるTechCommunications張社長ほか10名での見学です。この植物工場は世界的な開発拠点を目指しているとのことでした。

 

今回の件は、先月以下の通り記載しておりました。

「インドア農業」に注目! ビル・倉庫・工場がハイテク農業拠点に

私たちは「衣・食・住」の三本柱のうち、「住」に関して長年にわたり従事しています。

特にビル経営が専門である私たちは、長年携わっている本業のノウハウをベースとして、次世代のために、真剣な気持ちでビルを活用した垂直農場について、過去に検討した経験があります。

実は近日中に、私は中国人経営者とともに、農林水産省が関わる日本の先端的な植物工場を視察することが決まっています。

視察先の詳細については、

農林水産省 植物工場 千葉大学拠点

に公開されています。

はじめに午後1時30分から約一時間にわたって炎天下の中を案内していただいた担当の方に感謝いたします。本当に暑い日でした・・・。私たちのような農業が本業ではない見学者に対しても、とても丁寧な説明をしてくださいました。

上の写真のように、この植物工場は高層分譲マンションが隣接するエリアに位置するので、都市型農業事業の良いモデルになると思います。ここでは植物工場や施設園芸に関する高度な技術を備えた人材の育成にも貢献しているようです。

見学は予約制で、英語で説明ができる方もいるそうです。海外からの見学者も多いのかもしれませんね。都市型農業については、日本だけではなくアジア諸国など海外でも今後の注目すべき事業の一つです。

 

完全人工光ではなく太陽光を中心とした植物工場

植物工場のほとんどは「完全人工光型」ではなく、ビニールハウスの類の「太陽光利用型」建物でした。

農水省予算によりこの工場を建設した2011年当時、残念ながらLEDのコストが高かったことが要因で、現在でも太陽光と蛍光灯の光を組み合わせた設備なのですかね。

ここでは水質汚染や水のコスト削減対策としては、エアコンの排水を再利用することです。CO2の供給は、石油(重油?)を燃やしたもので行われているとのことです。

インドア農業ができそうな農業設備にコンバージョンできるビル、工場、倉庫のような不動産は数多くあります。世界的には「完全人工光型」で実現するインドア農業が食糧問題解決の一助になるような流れが、グローバル企業により始まりつつあります。

世界的にインドア農業が再注目されているのは、

・必要なLEDの大幅なコスト削減

・データ解析やロボット工学の進歩

・食に関する問題が、国連等により地球規模で問題視

といった理由によるものです。

特殊な発砲ポリスチレンを活用し、当初私たちがイメージしていた「完全人工光型」植物工場にたどり着いたのは、視察の最後の最後でした。中はとても涼しかったです。。。。

LED活用はもちろん、自動搬送ロボットもありましたので、今後のインドア農業設備のイメージに近いですね。

LEDやロボット技術、人工知能等を活用して、環境に優しく省力化を図り、かつ安定的に高品質の収穫ができることは、農業の不安定性や農家の減少・高齢化問題の解決の道につながります。しかし、事業採算に乗りにくいとも思いますので、インドア農業事業に参入する日本の企業もあまり多くないのが現実でしょうか。

農業の専門家であれば常識的なのかもしれませんが、今回の植物工場で栽培していた多くがトマトであったのは正直なところ不思議でした。

どうやらトマトは儲かりやすい商品で、コメ等は儲かりにくい商品のようです。

なぜトマトより米は安く売られているのか

私は以前から、トマトなど腹の膨れない野菜が高く売れて儲かる割に、コメみたいに腹が膨れて、国民が餓死しないためにとても重要な穀物がなんで儲からないのか、不思議だった。

そこでトマトの値段とコメの値段を比べてみると、トマト1個(約100g)はだいたいどこのスーパーでも100円くらい。他方、コメは100gに換算すると20円くらい。トマトは5倍も高く売れている。

カロリー計算をするともっと面白い。トマトは100gで18.9kcal、コメは356.1kcal。もし同じカロリーを摂取しようとしたら、トマトはコメの100倍近くも高くつくのだ。逆に言えば、コメはトマトの100分の1の価値しか認められていないということになる。

なぜこんなことになるのだろう? 命を繋ぐ米麦のような基礎食糧が安く買い叩かれ、野菜のように、重要ではあるけれど命に関わらないものが高く売れるのは、いったいどういうカラクリだろうか?

(中略) カロリーを稼ぐコメ、麦、トウモロコシといった基礎食糧は、ちっとも儲からないのだ。しかしそれを作らないことには、国民が飢えてしまうのも事実だ。

だから、アメリカやフランスがそうしているように、基礎食糧を生産する農家には、生活を保証する何らかの補助が必要なのだろう。これらの国では所得補償を行っている。日本も何らかの手だてを打たないと、「命に関わるけど安くしか売れない」基礎食糧を生産する農家がいなくなってしまう。

これだけ食の安全や世界的な貧困・飢餓の問題が周知されている現代社会です。飽食の時代に育った私達日本人が、何か問題解決の一助になることが必要だと思います。

 

多くの国では食糧問題が急迫

私の実家はもともとは農家でした。儲かりにくい米や果物を育て、自然災害でそれまでの苦労が無駄になることを目の当たりにしました。無農薬栽培の大切さは言うまでもないですが、現実的には農薬に依存しなければ、果物を害虫から守ることは無理でした。

近くに小さい養鶏場もあったので、毎日食べる卵を考えると鶏の食べるものにも気をつけていたように思います。鶏の卵を取りに行く時よく鶏に突っつかれたものです(笑)。

当時はわかりませんでしたが、今振り返ると当時でも直面していた課題は山積みでした。一族で所有していた農地の一部はまだ存在しますが、今現在、その農地で農業をする人はいません。

日本の農業は、TPP問題、農家減少により、極めて困難な状況に直面しています。解決に向けては日本国内だけではなく、グローバルな取り組みが必要になると確信しています。

 

国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)

大げさに聞こえるかもしれませんが、私たちは、国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)をベースとした国境を超えたビジネスの支援をしています。「持続可能な開発のための2030アジェンダ(2030アジェンダ)」は、 2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、 2015年9月の国連サミットで採択された、2030年までの国際開発目標です。

SDGsは、大中小規模を問わず企業等が国際社会に貢献することの大切さが叫ばれる中、私たちの日々の事業活動が目標とすべき、世界規模で認知された目標です。

持続可能な開発目標(SDGs)とは

 

食料と農業は、SDGsの17の目標のうち、

目標1:あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ

目標2:飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する

といった目標の中心に位置すると思います。

住に関することとして、大規模な街づくりに関わる可能性がありますので、

目標4:すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する

目標7:すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する

目標8:すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを推進する

目標9:レジリエントなインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る

目標11:都市と人間の居住地を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする

目標12:持続可能な消費と生産のパターンを確保する

目標13:気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る

目標17:持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

と言った各目標にも密接な関係があり、私たちも貢献できる可能性が高いです。

特にビル経営が専門である私たちは、長年携わっている本業のノウハウをベースとして、次世代のために、真剣な気持ちでビルを活用した垂直農場について検討した経験があります。

日頃、貧困で苦しんでいる世界の状況を見聞きしているものの、自分のことで精一杯でなかなか行動ができずにいますが、次世代の為にもSDGsに貢献していきたいものです。

 

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